Tokujin Yoshioka
HEXAGON TRIS 691
ワールドカップは、惜しくも日本代表がブラジル代表に敗れる結果となりました。
それでも、世界の舞台で堂々と戦う日本人選手たちの姿には、勝敗を超えて心を動かされるものがありました。
国境を越えて活躍するその姿を見ていると、不思議とこちらまで前を向く力をもらえる。
そんな感覚を覚えた方も少なくないのではないでしょうか。
世界を舞台に活躍する人たちは、スポーツの世界だけではありません。
プロダクトデザインの分野でも、日本発のクリエイションは世界中で高く評価されています。その代表的な存在のひとりが、吉岡徳仁さん。
今回ご紹介するのは、そんな吉岡徳仁さんがデザインを手がけた、美しく、そして静かな存在感を放つアイテム。
光と幾何学のあいだで

今回ご紹介するプロダクトを手がけるのは、イタリアのDESALTO社。
その代表作となるのが、サイドテーブル「HEXAGON TRIS 691 High」です。
世界に認められるデザインは、優れたクリエイターだけでなく、それを形にするブランドの存在によって支えられています。
1990年、イタリアで誕生したDESALTO社も、そんなブランドのひとつ。
「Design(デザイン)」と、イタリア語で“高い”を意味する「Alto」を組み合わせたその名が示すように、美しさと機能性、そして卓越した品質を兼ね備えたプロダクトを世に送り出し続けています。
世界的なデザイナーとの協業も数多く、国内ではモダンインテリアを牽引するCassina ixc.で取り扱われるなど、その洗練されたコレクションは世界中のデザインラバーから厚い支持を集めています。

「HEXAGON」シリーズは、その名の通り、自然界で最も合理的で美しい構造のひとつとされる蜂の巣の六角形をモチーフにデザインされたテーブルコレクション。
サイズやカラーのバリエーションも豊富に展開されていますが、今回入荷したのは、ソファやラウンジチェアの傍らで使いやすいハイタイプです。
艶やかなヘキサゴン型の天板と、それを軽やかに支える繊細なスチールベース。
直線だけで構成されながらも冷たさを感じさせず、どこか彫刻作品のような佇まいを纏っています。

一見すると、どこまでもミニマル。
しかし、その静かな佇まいに目を凝らすと、細部にまで宿る美意識が見えてきます。
線の細いスチールフレームは軽やかに空間へ溶け込み、ガラス天板にはエッジを斜めに磨き上げるベベル加工を採用。
光を受けるたびに繊細な陰影が生まれ、シャープな輪郭の中に、どこか柔らかな表情を覗かせます。
ガラスという素材を用いて、光や自然の美しさを表現してきた吉岡徳仁氏。
その代表作「ガラスの茶室」にも見られるように、素材そのものが持つ透明感や光の移ろいをデザインへと昇華するアプローチは、本作にも確かに息づいています。


そして、シリーズの核となる六角形のフォルムもまた、単なる意匠ではありません。
自然界が生み出した最も合理的な構造のひとつ「ハニカム構造」をモチーフとしながら、その機能性を語るだけではなく、造形そのものの美しさへと昇華。
幾何学的でありながら有機的でもあるそのフォルムは、空間に静かな緊張感と詩的な余韻をもたらしてくれます。
機能を満たすためのテーブルではなく、空間そのものを美しく見せるためのオブジェ。
その発想こそ、吉岡徳仁というデザイナーの真骨頂なのかもしれません。
画像
細部にまで宿る繊細な美意識と、無駄を削ぎ落とした構造美。
そのどちらも妥協することなく形にした、まさに吉岡徳仁氏らしい一台です。
サイドテーブルという枠を超え、空間そのものの質を高める存在として。
日々の暮らしの中で、世界が認めたデザインを静かに愉しんでみてください。































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