Serge Mouille
Sespension 3 Bras Pivotants
「ひさかたの 光のどけき 春の日に~」と、思わず百人一首の春の歌が頭に浮かぶような陽気です。
最寄り駅の高架下には、なんとツバメが巣を作っていました。さすがに時期が早すぎて思わず二度見してしまいましたが。
新しい環境に向けて忙しくしている人も多い季節だと思いますが、新鮮な気持ちで過ごす時間は濃密。
これから過ごすお部屋についても、模様替えを考える良い時期かと思います。
気分を一新するのに最適な、こだわりのあるライトが入荷致しました。
長い年月愛されてきた照明です、よろしければ最後までお付き合いください。
フランスのシルバースミスが生き物を観察して
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今回ご紹介するのは、イデーで取り扱われている名作シーリングランプ、その名も「シュスポンション・トワ・ブラ・ピヴォタン」。
・・・この名前を思わず聞き直してしまうのは私だけではないはずです。言いづらさMAXです。
独特な響きを持っているのはフランスのデザイナーによって作り出されたモデルであるためなのです。
もっと馴染みやすい言葉に置き換えてみましょう。
アルファベットでつづると「Sespension 3 Bras Pivotants」。ちょっと馴染みが出てきました。
ちょこっと英語に直すと「3 Swivel Arms Sespension 」。かなり直接的ではありますが、「スイベルアームが3本付いたサスペンション」という機構がそのままモデル名になっているのが分かりますね。
デザインはモダンデザインが盛り上がり始めるきっかけとなった1950年代にジャン・プルーヴェやシャルロット・ペリアンらと肩を並べた名手セルジュ・ムーユ(serge mouile、1922~1988)。
フランスのパリに生まれたデザイナーです。
氏は応用技術学校を卒業したのちには銀細工師(シルバースミス)としての修行を積み、金属加工に精通してゆきます。
その卓越した加工技術から生み出される美しさは、とてもなめらかなフォルムとしてアイテムに感じることが出来ます。
段差をもって並べられたアームから伸びる先にある3つのシェード。これは東京にある工場で現在も職人さんによって作られています。
繊細な1mmのアルミ板を旋盤で回し、ヘラを押し当てることで成形する見事な技。
鋳造では作り出せない曲面です。
そしてアームとシェードは玉継手(たまつぎて)というパーツで繋がれています。
可動部に球体が埋め込まれていることで、金具やコードに干渉しない範囲で全方位に光源の向きを変えることが出来ます。
裏返して間接照明にも使えます。シェードのてっぺんにはひょっこりとコブのようなデザインのアクセントがありますので、それを見て楽しむのも◎。
デザインだけではなく、雰囲気を作り出す照明としても優秀なモデルであることが分かります。
同じ系譜のデザインランプであるランパデールについて、氏は「アグレッシヴな照明、昆虫=ナナフシ」と述べていたようです。
物静かで、華奢(きゃしゃ)な細さでありながら躍動感のあるその姿。彼は自分の持っている最高の技術を使ってその写し身を作りたかったのかもしれません。
イデーの創業者であり、セルジュ・ムーユとこのランプについて取り扱いを決めていた黒崎氏によると、フランスの蚤の市で並べられていた氏の照明を見て、古くから使われていたアイテムにも、ポリシーとして求めていた「いつまでも生き続ける新しさ」がある事を感じたそうです。
奇抜に見えるようで美しく、マットな白と黒のコントラストがお部屋にシックに馴染んでくれる、まさに「名作」と言える逸品。
取付のために工事が必要とはなりますが、検討する価値のあるライトとお勧めできます。
リユースではより希少なシーリングランプ、気になる方はどうぞお早目にご検討下さいませ。