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Birds by Toikka
北欧・フィンランドが生み出した偉大なガラスデザイナーの1人としてし知られる“オイバ・トイッカ Oiva Toikka”。
想像力に富んだオイバ・トイッカのデザインは大胆でユーモラスな作品が多く、シンプルで機能性を求めたフィンランドデザインの主流からは外れているものが殆ど。
そんな素晴らしい作品群の中でも「バード・バイ・トイッカ Birds by Toikka」は、アーティストとしての際限ない想像力が生み出した名作と言えます。
「私は完璧さを求めるのではなく、楽しくありたい。」と言葉を残したオイバ、本日はそんなオイバが手掛けた自由で個性溢れるバードたちのご紹介です。
不完全さえ美しい
可愛らしいフォルムやガラスの美しい素材感、そして一体ずつ異なる表情が魅力的な「バード・バイ・トイッカ Birds by Toikka」。
そんなバードが初めて誕生したのは1972年のこと。ヌータヤルヴィ工場からイッタラ工場での生産に切り替わった現在に至るまで、オイバによるバード達は300種以上も製作されているそう。
カタチや大きさ、色や模様でそれぞれの鳥を独自のスタイルで表現しており、鳥それぞれに個性があるように、 マウスブロウによるふくらみの違いや気泡の入り具合は個性となり鳥たちに命を吹き込み、 絶妙に異なる顔立ちやフォルムはまさに自由に羽ばたく鳥そのもののようです。
こちらは1991年に発表・製造がスタートし、現行でも販売されている手のひらサイズの小さなバード「ブルーバード Blue Bird」です。
ブルーバードとはスズメ目ヒタキ科の「ルリコマドリ(ルリビタキ)」のことであり、名前の通り瑠璃色の美しい青い羽を持ち、ぷっくりとした姿とふくよかな丸いフォルムが可愛らしい1羽です。
幸運を招くといわれる青い鳥は、定番になりつつある人気のデザイン。イッタラバードの1つである「Whip-Poor-Will(ヨタカ)」と並んで古株的な存在になっています。
ブルー色のクリアガラスに描かれたホワイトの波模様が羽のよう。光が当たると透けて見えるボディカラーの濃淡がより美しさを引き立てます。
心落ち着くカラーと愛らしいフォルムは、静かで澄んだ空気が漂う北欧の湖畔で過ごす平穏な世界を彷彿とさせます。
こちらは現行で販売されるイッタラバードのひとつ「メディエータードーブ Mediator Dove」、平和の象徴であるハトがモチーフとなっています。
ノーベル平和賞の受賞歴をもつフィンランドの第10代大統領“マルッティー・アハティサーリ”氏の功績を称え、2011年に制定された記念日のために作られた特別なデザインです。
メディエイタードーブを直訳すると「調停の鳩」。モチーフとなるハトが平和を象徴する鳥のため、このバードには深い平和への願いが込められているような気がします。
クリアガラスに描かれたホワイトの波模様が羽のよう。小さめのサイズ感とふくよかな丸いフォルムが相まって可愛らしい印象を与えます。
また透明のボディが氷のようなきらめきを放ち、光の当たり具合によって異なる表情を見せてくれます。
オイバ・トイッカが生み出すデザインは勿論、そのデザインやイメージを具現化できるイッタラの技術もまた素晴らしいと感心させられるもの。
昨今は地震などもあり、こういったガラスオブジェを敬遠されている方もいると思いますが、壊れてしまうかもしれないと思うガラスの儚さもガラスアートの魅力の一つと言っても良い気がします。
300種以上もあるとコレクターの方は集め甲斐があるのではないでしょうか、お家にこの可愛らしい鳥たちがいっぱいいる風景は是非見てみたいものです。
不完全を許容できるオイバ・トイッカの才能、それぞれのバードにそれぞれの命が与えられているという事が良く分かります。
純粋な楽しさが宿ったバードは、使う人眺める人を元気にしてくれる素敵なものばかり、世界中のコレクターが虜になる理由もよく理解できます。
その美しい佇まいを是非ご自宅で堪能してみてはいかがでしょうか。