ΙΧΘΥΣ
NT-03 dining table
私の様な美術・芸術に疎い人間でも、作品を見て心が揺れる事があります。
美術家や芸術家の表現は、「寝食を忘れる程の好き」や「思想・哲学」、「自己防衛の術」などなど。
その表現は様々。
そして、受け手の捉え方も様々。
私がこの作品を見た時、生命を感じました。
感性を刺激する作品
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伊東豊雄、田中紀之、飯村和道、MYRA(妹島和世・飯村祐子)が在籍した幻のブランドである" ΙΧΘΥΣ / イクテュス"。
こちらは、田中紀之氏によって産み出された『NT-03』となります。
通常カタカナ表記の名義で活動する同氏ですが、同ブランド内においてだけは漢字表記の名義で活動をしている点も興味深く感じられます。
『人とも植物とも想えるカタチ。日常から垣間見える生命の同時性。言葉では表しきれない感覚を、家具と言うテーマに定着させたい。』
そういった想いをカタチにした独創的な作品の『NT-03』。
私にとって家具とは、アート性を感じるモノはあるものの、あくまで暮らしの道具。
しかし、なぜか『NT-03』からはそれ以上の何かを感じます。
不思議なカタチをした独創的なフレーム。
このフレームからは、なぜか生命の源である水を連想します。
水面に浮かぶ植物の葉の様なカタチや、水を汲む手の様な柔らかなうつわのカタチ。
波紋の様な丸いカタチや、植物の枝の様なカタチ。
何とも形容しがたいカタチが絡み合ったフレームの表情が、とても美しく感じます。
フレームに施された永い年月を経て煤けたような表情を見せるグリーンペイント。
無機質にも有機質にも見える不思議な仕上がり。
それらは正に、『人とも植物とも想えるカタチ。日常から垣間見える生命の同時性。言葉では表しきれない感覚。』のように感じます。
『NT-03』を家具だと認識できたのは、移動する際に持ち上げた時。
フレームがとても軽かった。
カタログにはスチール製と記載されていた為、とても重いモノを想像していました。
しかし、触れて確かめてみると、どうやらスチールに樹脂の様な素材を組み合わせているようです。
横揺れなどを防ぐための補強部分にはスチールを使用。
装飾の部分には加工のしやすい樹脂の様な軽い素材を使用。
そうやって使い分ける事により、日常の生活道具としての機能性・実用性をしっかり持ち合わせております。
皆様は、『NT-03』を見てどう感じましたでしょうか?
正直、ここまで感覚的な感想を持つ家具は初めてです。
感覚に従って自由に、設計図のない、新しい創造を大切にしながら手掛けられた逸品。
そんな素敵な作品のご紹介でした。