artek
51 Arm Chair - Hallway
科学的には、タイムトリップって可能らしいです。スピードの速い乗り物に乗ると過ぎる時間が地上よりも遅くなるんだとか。
でも光の速さでも数秒だったか数分の差。年月を越えるとしたら、いったいどれほどのスピードが必要なんでしょう。
文系の頭では考えてもさっぱり分かりませんが、そう遠くない未来に時間旅行ができるのかもしれません。
経年の付加価値
>>この商品の詳細を確認する
最近時間が経つのがとっても早く感じます。そういえば、「1年が1カ月くらいで過ぎていく」なんておじいちゃんが言っていたのを思い出します。
何気なく繰り返し過ぎていく日常も大切な時間だと年々感じるようになってきました。今はまだ、過去には戻れませんもんね。
時は金なり。それはきっと人にも物にも当てはまって、目には見えない経験や味わいとして現れたり感じられるようになっていくもの。
巨匠・Alvar Aalto(アルヴァ・アアルト)が手掛けたアームチェア「No. 51」もまた、時間を価値としてまとった逸品です。
もともとフィンランドのパイミオという地区の結核療養所のために1932年にデザインされたこの椅子。
アアルトの建築家としての代表作でもあるサナトリウムの内装に合わせたカラーリングで展開された「403 HALLWAY CHAIR」のビンテージモデルです(403も既に生産を終了しています)。
バーチ材の素朴なナチュラルカラーに、柔らかなラインを描く背座一体となったプライウッドシート。
アアルトらしい曲線の有機的なデザインにストレートラインのフレームが程よいコントラストを与え、単素材とは思えない奥深さを生み出しています。
座り心地は、意外にもしゃっきり。90度に近い角度に背筋が伸びるので、例えば本を読んだり映画を観たりなど姿勢を保ちながら何かをしたい時に向いています。
さすがはホール用の椅子(正しくはホールに続く廊下用ですが)、寛ぎ過ぎない絶妙なポジションをキープできるように計算されているのかもしれません。
ビンテージのデザイナーズアイテムの中には、もちろん今も生産され続けているもの存在します。では、なぜあえてビンテージを選ぶのか。
それはきっと、当時にしかない素材だったり構造だったり工程だったりが楽しめるから。そして経年という目には見えない装飾をまとっているから。
サナトリウムのための家具が注目を集めたことをきっかけに、そこから多くの家具デザインを手掛けたアアルトの最初の家具のひとつでもあるNo.51。
製造年こそ不明ですが、オリジナルにより近いビンテージの1脚だからこそ、思いを馳せながら大切に使いたくなります。