HIDA
PROVINCIAL Smokers bow & Bow back chair
カルチャーが混ざり合い反応し新たなカルチャーは生まれる。
変化を拒む傾向を多く感じる今日この頃ですが、我々が日頃親しみを持って接しているものの中にも混血のカルチャーは多く存在しています。
枝分かれし多くのジャンルで括られながらもモノづくりの根源はきっと同じ場所にあるはず。
異文化同士の化学反応は時に圧倒的な名作を生むことになります。
本日紹介させて頂くのは、古き良き異国のフォルムを持つ日本の名作。
素朴な品に伴う情熱
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日本の老舗家具メーカー“飛騨産業”。
今回ご紹介させて頂くのはそんな飛騨産業が展開する高級ライン「プロヴィンシャル / PROVINCIAL」シリーズのチェア、「スモーカーズボウ」と「ボウバックチェア」の2脚です。
「地方」や「田舎」という意を持つプロヴィンシャルシリーズ。
イギリスの田園地帯ののどかな生活スタイルを日本の手技、飛騨産業の手技で丁寧に再現したラインです。
堅牢な作りや職人の卓越したクラフツマンシップで知られる飛騨産業。
90年以上の歴史を持つ飛騨産業のきっかけは西洋の技術の流入にありました。
1920年、飛騨高山の町に2人の職人が持ち込んだ西洋の曲げ木家具の技術。
この技術が高山町の職人たちの心を動かしたそう。
職人たちは「飛騨の匠」で知られる伝統技術をもとに西洋の家具を作ると決意したのです。
当時飛騨高山の職人たちは椅子すら見た事が無かったそう。
西洋家具の完成は楽では無かった筈です。
永年の経験と木の知識と共に、試行錯誤を繰り返しながらようやく生まれた家具。
後に飛騨産業は日本のモダニズムを彩る大きな存在になります。
飛騨産業の根にあった西洋の家具。
プロヴィンシャルシリーズはイギリスの生活への憧れが元になっています。
流行に惑わされない素朴な暮らしの原形。
野趣あふれる豊かさと永遠の郷愁。
これを飛騨産業の拘りと技術、情熱で蘇らせる。
これは最早西洋風の家具ではなく飛騨産業の抱いた強い憧れが生み出した新しい家具なのかもしれません。
イギリスの椅子といえば先ず思い浮かぶであろうチェア、「ボウバックチェア」。
代表格とも言えるトラディショナルなアイテムですが、飛騨産業が手掛けるとこうも味わい深くなります。
余計な足し算はせず、引き算もしない。
歴史が完成させた簡潔なデザインへの敬意が伺えます。
圧倒的な存在感は味わい深い木肌を持つオーク材を丁寧に仕上げている為。
杢目を浮き出す傷加工、擦り減らし等のアンティーク加工を施し完成される風格。
プロヴィンシャルシリーズの拘りはこうしたディティールに現れています。
ずっしりとした佇まいを持つ「スモーカーズボウ」はかつてイギリスでパブやホテルのロビー、民家に至るまで様々な場所で愛用されてきたチェア。
その名の通りゆったりと寛ぐことのできるチェアです。
歴史を感じさせる佇まいに飛騨産業ならではの仕上げが施されることで特別な一脚に仕上げられています。
2脚共に施された座繰り加工が生み出す抜群の安定感。
圧倒的な拘りが醸し出す素朴な品には頷くしかありません。
民間伝承のデザインをそのまま引き継ぐというのは簡単そうに聞こえるかもしれません。
多くのリプロダクトやコピーがありふれる現代。
一番大切な本質だけが抜き取られ、多くの外殻だけのモノが生み出されています。
飛騨産業プロヴィンシャルシリーズが美しいのはそこに情熱があるから。
異文化への敬意が生んだ名作のご紹介でした。
HIDA PROVINCIAL Bow back chair
HIDA PROVINCIAL Bow back chair