shinichi kamatani
Pine tree No.41
デザインとアートは近いところにありそうですがその本質は全く違うもの。
生活との結びつきが目に見えるデザインと違い、アートはどうでしょう。
無くても生きていける。困らない。
アートに限った話ではありませんが、意図は受け手により変形を続けるもの。
時代背景を色濃く映すメッセージとしての意味合いを持っていたアートは、SNS上での只のステータスになり下がってしまったのでしょうか。
ただ何となく良いから、が蔓延する時代だからこそ、どうにかしてでも本質を見抜きたい。
本日紹介させて頂くのは現代版画作家鎌谷伸一氏の作品です。
研ぎ澄まされた繊細な表現
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色彩に重点が置かれた、情緒的で格式高い作風。
鎌谷伸一氏はシルクスクリーン版画全盛の時代に、シルクスクリーンによる「抽象絵画」の世界を築き上げた第一人者です。
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シルクスクリーンとは印刷の技法のひとつ。大量印刷を目的として生まれたプリント技術です。
1950年代、本来商業利用されていたシルクスクリーン技術をアートに昇華させたのが、ご存知ロバート・ラウシェンバーグとアンディー・ウォーホル。
ポップアートの先駆者として知られる2人の作品は世界中のアーティストを巻き込みました。
鎌谷伸一氏もその一人。
大量消費の時代の冷たさや溢れる情報を含むポップさとの出会いは当時、衝撃的な出来事だったのではないでしょうか。
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そして1970年代。
シルクスクリーンに着目した鎌谷伸一氏は美術大学の同級であった柴田敏雄氏、辰野登恵子氏たちとその技法、精神ともに研鑽を重ねたそう。
写真製版によるシルクスクリーンが主流である中、鎌谷氏は手描きによるブロッキング法に辿り着きました。
それにより叶えられたのは写真には出せない、独特の緊張感。
この緊張感が生み出した作品が「Pine Tree」シリーズでした。
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今回ご紹介させて頂いたのは「Pine Tree」のNo.41。
作風から恐らく80年代周辺に制作されたものでしょうか。
和紙による穏やかで温かいうねりに乗せられた様々なモチーフ。
繊細ながら大胆な作品をシルクスクリーンで表現するという独自性は現代でも新鮮に映ります。
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研ぎ澄まされた繊細な美しさの中に日本的な美とモダンな美しさを感じ取ることが出来る鎌谷氏の作品。
カルチャーが混ざり合い、新しいカルチャーを生む。
新しくも、元々そこにあったような不思議な安心感すら感じます。
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アメリカ社会に流布する軽薄なシンボルを作品化しポップアートと言わしめたアンディ・ウォーホル。
彼の作品が世界中で愛されたのは作品に込められた内情が見えづらく、外柄がポップで明快だったからなのかもしれません。
内容や理由を求めない現代。
紹介させて頂きたかった作品です。