特集 : ビンテージのススメ

UPDATE: STAFF:トリス
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時の流れを想う

私たちインテリアを日々取り扱う者としては外す事の出来ないジャンル、ビンテージ。 日々今を生きるデザイナーやメーカーたちが切磋琢磨して新しい価値を生み出しているその流れとは別に、確かに存在する価値。 ちょうど雰囲気の良い椅子が2脚入荷しましたので、その魅力を一緒に楽しんでみて頂ければと思います。

Pick up items

ビンテージ。一般的には製造より30年以上の年月を経過したものに対して使う言葉のようです。 類似の言葉としてアンティークがありますが、こちらは製造より100年以上を経過したものを指す言葉。 似たようで確かな隔たりがある言葉の中、ビンテージならではの魅力とは何でしょうか。

US Vintage Counter Chair LIVING DESIGN lNC.

先ずはカウンターチェアから。 こちらは前所有者様がUSビンテージに造詣の深いアクメファニチャーで購入されたもの。座面下に残されたラベルより、主に1960年代に活躍していたアメリカのデザイナー、チェット・ビーズリーがデザインしたものと判別できます。 軽くて丈夫な木製フレームにクッション材のウレタンフォーム、そしてクリーム色のPVCレザーを貼り渡した現代的なシート。 今ではそれほど珍しい仕様ではありませんが、座った際に腰をしっかりホールドする傾斜のため、座面下には木製のコマが差し込まれています。 そして柔らかくも悪魔のツノを思わせるような背もたれの突起はチェット・ビーズリーの特徴の一つ。ミッドセンチュリー期を感じさせるエネルギッシュなディティールです。 そして高さを出している脚部はウォールナットの無垢材。現在でも北米産のウォールナットは最高品質と評価が高いですが、地の利もあってかUSのビンテージにはイギリスや北欧などよりもウォールナットが使われているものを良く目にします。 この形が現代にあっても何も違和感はありませんが、少なく見積もっても50年以上前にこの形が出来上がっていたと考えると、当時の快適性に対する高い意識が感じられますね。

Japan Vintage Doctor Chair

そしてもう一つはジャパンビンテージ。 スウィベルチェアとも呼ばれる回転機構の付いたデスクチェア。医者など権威のある人が使う事が多かったのかドクターチェアなどと呼ばれていることもあるタイプです。 素材はナラ材。大きくはオーク材と一緒のカテゴリーですが、目の詰まった良い雰囲気が感じられます。 本体には所有を示すための焼き印やラベルが付けられています。記号に「ぬ」とあるのが何とも味わい深い。 調べてみると香川に現在も続く教育機関で使われていたようです。名称が時代によって変わっているため1949~1971年の期間に該当とこちらもミッドセンチュリー期の1脚と分かります。 座面にはしっかりと弾力の感じられるスプリングコイル。ウレタンなどのクッション材は気持ち程度なので座り心地は正直現代の方が段違いに良いと思います。腰掛けたら座面の端っこから空気が押し出されてきます(笑) それでも当時のベターな仕様なので不快感を感じるなんて事は勿論ありません。楽しんでお使い頂けます。 50年以上が経過しているので、乾燥による木部のヒビや隙間、節目や木釘抜けなどありますが、それでも実用に不安を感じる事が無いのは素晴らしい事。 そして小振りですが長く使われる事を願って作られたと分かる、優雅なデザイン。毎日使われる事で、手が触れる場所、日の当たる場所と少しずつ出てきた微妙な違いはそれに更なる魅力を纏わせています。

10年、20年、何十年と今まで歳を重ねてきた現代の私たち。 その大変さが実感できるからこそ、それ以上の年月を無事に過ごして来たアイテムにはある意味「よく頑張ってきたんだね」という敬意が生まれます。 作られた場所や使われた場所、目的と同じ椅子でもこんなに違う。 そして自分から見た親や祖父母のように、生きてきた年数をリアルに感じられる「ビンテージ」だからこそ、より親しみを持って感じられる。 もしこの椅子のどちらかにでもシンパシーを感じて頂けるなら、次にその時間を継いでいくのはあなたなのかもしれません。 一生懸命生きる時間を大切にする人に、選んで頂きたいビンテージのご紹介でした。

US Vintage Counter Chair LIVING DESIGN lNC.

Japan Vintage Doctor Chair

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