特集:オイバ・トイッカによるキューブたち

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IITTALA & Nuutajarvi

Cube by Oiva Toikka

寒いのだか温かいのだか、よく分からない季節のはざまにいます。

太陽の日差しを浴びながら動けば汗ばむ気配がするのに、日陰でビル風のような勢いの空気を浴びれば寒さと乾燥が一気に訪れます。これに花粉もってそれはあんまりだぁ・・・。

さて、つまらぬぼやきはそれくらいにして、今回用賀店にやって来てくれたスペシャルなアイテムを是非ご紹介致します。

眺めるだけでも良し、知れば知る程好きになるそんな逸品のご紹介です。

四角の中にある小さな宇宙

ファンも多い北欧のアイテム。機能とデザイン、そして使う人を受け入れる温もりが高い水準で融合したプロダクトは、家具からテーブルウェア、グラフィック、ホームウェアと幅広い分野で人々を楽しませてくれています。

その北欧の中で、素朴なデザインと実直なつくりが人気の国、フィンランド。

太陽が沈まない白夜、そして上らない極夜という高い緯度から導かれる気候。毎日を過ごす家の中は心地よく、そして一緒に過ごす人を大切にする優しいホスピタリティに溢れています。

人気のガラスウェアブランド イッタラ | Iittala。

首都ヘルシンキから約100キロほど北上した場所に存在するイッタラ村に1881年創業したガラスの工房は、そんなフィンランド発のブランド中でも世界的なコレクターが存在するほどの品質と、優れた芸術性を備えたアイテムを製造。

アアルト夫妻、カイ・フランク、サーラ・ホペア、タピオ・ヴィルカラ、ティモ・サルパネヴァらミッドセンチュリーを代表するデザイナー達との共演。そして今でもハッリ・コスキネンやブルレック兄弟、マーク・ニューソン、ジャスパー・モリソンといった現代の旗手と、暮らしを豊かにする未来の名作を手掛ける素晴らしい企業です。

そんな中でも特別な立ち位置を占めるのが、オイバ・トイッカ(1931ー2019)。イッタラのアイテムはそれぞれからデザイナーの人となりを感じられるのですが、オイバ・トイッカのそれから感じるのは子供のいたずらにも似た遊び心。

例えばタピオ・ヴィルカラからは自然をその身に宿したようなテクスチャー、ティモ・サルパネヴァなら極限までの「線」へのこだわり。

それぞれが異なるからこそ素晴らしい世界の中で、オイバ・トイッカはそのユニークな心を、手掛けるアイテムからわたしたちに届けてくれています。

その中でもバードに並び高い人気のコレクティブル、アニュアルキューブ。

1977年以降、おおよそ1000~2000個という限られた数が年度ごとに作られています。

ガラスの塊の中に閉じ込められたモチーフは勿論年度ごとに異なり、なおかつ職人の手仕事で作られるため同じ個体はありません。そのため一期一会の出会いという点でもとてもスペシャルなアイテムなのです。

それでは3点入荷したキューブをそれぞれご紹介。

まずは1980年のアニュアルキューブから。

イッタラは1988年に、オイバ・トイッカが在籍していた最古のガラス工房の一つヌータヤルヴィと合併します。

それより前に手掛けられたアイテムという事もあってか、前面にはヌータヤルヴィのステッカーが貼られています。ちなみにこの魚のような形は、工房があったヌータヤルヴィ(ヤルヴィはフィンランド語で「湖」の意)をモチーフにしたのだとか。

とても透き通っているので、足元が空いているのが宙に浮いている様です。

ヘタの付いた野菜のようにも、潮で遊ぶクジラのようにも見えるこの意匠。皆様にはどのように映りますでしょうか。

ねじる事で生まれる縞模様は垂直に折れ、纏う淡い色味もまた魅力的。

一体どう作っているのか想像もつきません。

(カットサイン:「Nuutajarvi 1980」、「975/1000」、「Oiva Toikka」)

続いてはミニキューブ。

ん、アニュアル(年度)という言葉が付いていない?と思ったあなたは大正解。

実はこのプロダクト、アニュアルキューブが始まる前にサンプル的な立ち位置として作られたもの。

サイズはもちろん、よく見ると面の平滑具合やガラスの色味もどことなく違う・・。

オブジェとしての最適なサイズの模索から、ガラスの素材や処理など色々な変遷を経てきた事が分かる希少な一品です。

実際、ガラスを磨き上げる手間暇はキューブの制作に掛かるコストの半分にも迫るとか・・・。

淡い白のドームに、緑のうっすらとしたベール、そしてブラウンのインナードーム。サンプルゆえの粗削りの中にも、しっかりとその魅力が詰まっています。

(カットサイン:「Oiva Toikka Nuutajarvi」)

そして最後はLIGHT BLUE MUSHROOMと題したキューブ。キューブ?そう、これもサンプル的な立ち位置で制作されたものの一つ。こちらはミニよりも後なのか、アニュアルキューブと同様のサイズ感。

磨き上げられたガラスの中にはマッシュルーム(きのこ)。さきほどの1980年が海の青だとするのなら、空や宇宙を感じさせる淡いブルーが印象的です。

根元にはぷっくりとした気泡。ガラスの製造技法として濡らした枝を差し込む事で蒸発した水分が気泡を作るというものがあるそうですが、このキューブはどのように出来たのでしょうか。もし叶うことなら、キューブの製造を一目見てみたいものです。

(カットサイン:「Oiva Toikka Nuutajarvi」)

いかがでしたでしょうか。
置く場所やその日の時間、季節によっても表情を変えるガラスアイテム。手が届かないその透明な四角の中にあるのは世の中には存在しない、オイバ・トイッカの想像の形。

是非その不思議な魅力を、お手元で楽しんでみて下さいませ。



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