特集:たまにはちょっと良いオヤジ時計のお話しでも~SEIKO キングセイコー ファースト & セカンド(44キング)とグランドセイコー 9F62

UPDATE: STAFF:アベカワ
特集:たまにはちょっと良いオヤジ時計のお話しでも~SEIKO キングセイコー ファースト & セカンド(44キング)とグランドセイコー 9F62

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同社2つの工場が切磋琢磨して生まれた高級腕時計

今回はたまたまキングとグランド計3本のセイコー腕時計が入荷したので、ちょっと良いオヤジ時計についてお話ししてみたいと思います。 私自身、腕時計が好きなのですがデザイン性の強い時計ばかり集めていたので、今回のようなシンプルな3針腕時計の魅力ってなんだろうと思いご紹介がてら自身も勉強してみました。 入荷したのはキングセイコー手巻きの機械式2本、グランドセイコーは近年のクォーツ式です。

1960年当時のスイス高級腕時計を超える挑戦

1960年に初代のグランドセイコーが諏訪精工舎から誕生しました。 国産では初めてのスイス・クロノメーター検査基準優秀級規格に準拠した腕時計として発売。 当時の販売価格は¥25,000、国家公務員の初任給が¥12,000だったことから簡単には手が出せない高級品だったことでしょう。 その翌年である1961年に亀戸の第二精工舎からキングセイコーが誕生しました。 諏訪精工舎と第二精工舎は同じセイコーでありながら別会社だったため、諏訪が開発したグランドセイコーの技術は使えず、亀戸自身が造っていたクロノスをベースにキングセイコーを開発しました。 当時の両モデルは性能の差異はさほど無く、グランドセイコーにはあった歩度証明書と秒針規制がキングセイコーには無かったことぐらいだったようです。 そして価格をグランドセイコーの¥25,000に対して、キングセイコーは¥15,000という価格設定にしたことで人気を博したようです。 それでも初任給よりは高額なのですから十分に高級品ですね。 後にこの垣根は無くなり、第二精工舎からもグランドセイコーが発売されるのですが、この頃はお互いを意識し、技術を高めあうことでスイスの時計に負けない名機達を次々と誕生させ、現在のGSブランドが確立されていったのです。 それでは今回入荷したキングセイコー・ファースト&セカンドモデルをご紹介します。

キングセイコー ファーストモデル 14KGF 金張りケース 手巻き

第二精工舎が開発した記念すべきキングセイコーの初代モデル。 クロノスをベースにパーツを磨き上げ、精度を高めた高級ラインの一品。 ケースの14金メッキは初代グランドセイコーの80ミクロンよりも厚い100ミクロンになっているところに意地が感じられますね。 盾の絵柄とKING SEIKOの文字が刻印されたメダリオンが裏蓋に光っています。 1961年発売の1961年製ですので最初期の個体ではないでしょうか。

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Item number: SZ-100

Price: SOLD OUT

キングセイコー セカンドモデル Cal.44A 手巻き ハック機能付

オリンピックイヤーである1964年に誕生したキングセイコーのセカンドモデル。 グランドセイコーにあったハック機能(秒針規制)を装備したキャリバー44Aを搭載。 裏蓋のメダリオンもシンプルになりましたが健在。 リューズにはKSの刻印が入っています。 (この個体は1967年製で筆者と同い年だったりしますので多少くたびれております。)

----------------- SPEC -----------------

Item number: ---

Price: SOLD OUT

グランドセイコー 9F62 クォーツモデル 年差±10秒 SBGX063 箱付

前述のキングセイコーは60年代機械式のビンテージ品でしたが、こちらは1997年に開発されたキャリバー9F62のクォーツモデルとなります。 クォーツと聞くと古い時計が好きな面々はあまり触手が動かないものではありますが、GSに搭載されるクォーツともなるとただの電池駆動するムーブメントではありません。 9F6シリーズのムーブメントはクォーツを超えるクォーツとして誕生。 1秒間に32,768回もの水晶振動子の振動をIC回路が検知し、電気信号に変換。その信号によってステップモーターが歯車を動かし秒針が進んでいくメカニズムです。 またクォーツムーブメントは機械による自動組立が主ですが、この9F62は複雑な機構を持つため手作業での組み上げが行われています。 こういった職人による手作業よって瞬間日送りカレンダー(午前0時を超えてから数分の間に瞬間で切り替わるカレンダー)も実現しています。 (セイコーHPより参照) このグランドセイコー 9F62 には他にも太い針をスムーズに動かすためのツインパルス制御モーターや、最高級のクォーツにはほとんど出番の無い精度調整可能な緩急スイッチなども設けられています。 年差±10秒といったすごい精度も特筆ものです。

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Item number: SG06-204

Price: ¥138,000-

最後に紹介しましたGSはクォーツだったので書くこと無いかなと思っていましたが、そこはさすがグランドセイコーですね色々進化しています。 その昔、ツインクォーツやVFAといったクォーツがあって、腕時計に日差ではなく年差という表記があることを知ったときのことを思い出しました。 そして第二精工舎のキングセイコーも諏訪精工舎のグランドセイコーと切磋琢磨していく過程で進化し、後にGSの名を双方が受け継いでいくといったヒストリーは楽しかったです。 当時の開発者達は良いライバル関係によってすごい機械を生み出していたんですね。 こういう素敵な方達が製造していたグランドセイコーやキングセイコー。 私もそろそろ似合うお年頃ではないかと思うので、古い物を1本手に入れてみようかな。 日本が生んだ最高の技術に敬意を表しながら。

wrote by インプションで歳が上から2番目のおじさん

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