松本民芸家具
610D型 ロッキングチェア
時代が進み、量産できるものや簡易的に作れるものの需要が増え、失われつつある日本の職人による手仕事。
着物や焼き物など様々な伝統工芸品、寺社仏閣を造る宮大工、日本の食文化を支える職人たち…。民芸家具もまた、その文化の一つと言えるのではないでしょうか。
民芸家具と言えば「北海道民芸家具」「岩谷堂箪笥」「九州民芸家具」など様々な地域の家具がありますが、その中でも特に高い人気を誇るのが『松本民芸家具』です。
澄んだ空気と豊かな自然に恵まれた長野県松本市で作られる、職人の技が宿る家具たち。
本日はそんな『松本民芸家具』より、ゆったりとした時間を楽しめるロッキングチェアをご紹介いたします。
受け継がれる職人の手仕事

松本民芸家具の歴史は古く、1944年、自然豊かな長野県松本市に木製格納庫の製造会社として設立されたことから始まります。
戦後は復興住宅や建具の製造を行う“中央構材工業”として活動していましたが、同社の設立者の一人である池田三四郎氏が、日本民芸運動の提唱者・柳宗悦氏の講演に感銘を受けたことをきっかけに民芸の道へ進むことを決意。
そして1948年、松本市の優れた木工職人たちと共に民芸家具の製作を開始し、現在まで続く“松本民芸家具”が誕生しました。


今回ご紹介するのは、同社より製作された「610D型 ロッキングチェア」。
ハイバックの背もたれには、挽物細工による美しいスポークが並び、民芸家具ならではの重厚さの中にも軽やかな印象を感じさせるデザインとなっています。
フレームの間に程よい抜けを作ることで圧迫感を感じさせず、クラシカルでありながら空間に自然と溶け込む佇まい。
背もたれと座面には赤いファブリックが採用され、落ち着いた木部とのコントラストが印象的なアクセントとなっています。

主材には、美しい杢目と高い耐久性を持つ国産のミズメザクラ無垢材を使用。
ミズメザクラは「百木の長」とも称されるほど堅牢な木材で、粘り強く狂いが少ないため、家具材として古くから重宝されてきました。
光沢を帯びた上品な杢目も魅力で、使い込むほどに味わいが増し、時間とともに深みのある表情へと変化していきます。
職人の手仕事によって丁寧に仕上げられた木部は、民芸家具ならではの温かみと存在感を感じさせてくれます。


このロッキングチェアの大きな特徴は、スプリングを用いた独特の構造。
本体と台座がスプリングによって連結されており、台座ではなく椅子の上部のみがゆったりと揺れる仕組みになっています。
そのため安定感を保ちながらも、身体を優しく包み込むような心地よいスイングを楽しむことができます。
さらに張地の布の張力によって柔らかな座り心地を実現しており、読書や休息の時間をより快適なものにしてくれる一脚です。

圧迫感を感じさせないサイズ感のため、リビングや書斎など様々な空間に取り入れやすいのも魅力。
和家具や民芸家具と合わせるのはもちろん、赤みを帯びた色合いからヨーロピアンヴィンテージの空間とも相性の良いアイテムです。
例えばオーク材やローズウッド材のアンティーク家具や、ミッドセンチュリー家具などと合わせることで、文化の異なる家具同士が生み出す独特の雰囲気を楽しむことができます。

使い込むほどに味わいが増し、人の暮らしとともに表情を変えていく家具。
長い歴史の中で培われた職人の技術と、良質な素材によって生み出される松本民芸家具のロッキングチェアは、日々の暮らしに静かな安らぎの時間をもたらしてくれます。
読書の時間やくつろぎのひとときに寄り添う、永く使い続けていただきたい一脚です。











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