Tendo
Heron Rocking Chair
雨が降っています。
折り畳み傘でいいか、と思うようなものではなく、一日を雨が降っているものと想定して過ごすような、ちゃんとした雨が降っています。
雨粒も大きく、量も多いので水たまりもそこかしこに出来上がり、その表面には風にあおられた雨粒たちが飛び込んで、途切れることなく波紋を作っています。
狙った訳でもないのに途切れなく揺れる空を映す水面は、時間を忘れて眺めていたくなる魅力を持っているのかもしれません。
人は規則正しい、連続性あるものに快感を感じるところがあります。
柱時計の振り子、まな板を包丁がたたく音、廻る洗濯槽、アクセルを踏んで加速度的に吹き上がるエンジン、音楽のエイトビートや4つ打ちと言われるリズム等々。
規則正しいものを目にしたり耳にすると人はその先を想像します。きっとリズムを崩す事なく続いてゆくと、想像通りになった「ハマる」快感を感じるのだと思います。
また他の話でも、赤ちゃんがぐずっている時にお母さんの心音を聴かせると落ち着く、というものがありました。
お腹の中にいた時から聞いていた心臓の鼓動は、安心の元にもなっているのでしょう。
今回ご紹介させて頂くのは家具にそんな連続性を持たせたロッキングチェア。その中でも取り上げられる事の多い天童木工(てんどうもっこう、Tendo)の名作、ヘロンチェアです。
佇む白鷺
>>この商品の詳細を確認する
このロッキングチェアは天童木工が手掛けたもの。天童木工は終戦直後の1947年、日本で家具メーカーとして成型合板(プライウッド)技術をいち早く取り入れ、現在ではその技術の世界的なトップランナーであり、日本を代表する木工の企業でもあります。
官公庁施設への家具納入や、高い水準の技術が必要とされる「コマ入れ成形」「不等厚成形」の保持、強度的に用いられていなかった国産のスギやヒノキといった針葉樹を家具材として用いられるレベルに引き上げる圧密加工技術(Roll Press Wood)の開発、民間で初の家具デザインコンクールを開催など実績には枚挙の暇がありません。
柳宗理やブルーノ・マットソンなど名だたる外部デザイナーの作品も豊富にありますが、インハウスデザイナーの作品も水準が高く目に楽しいブランドになっています。今回の作品も天童木工のデザイナー菅澤光政(すがさわ みつまさ)によるもの。
1966年に発表されたヘロンシリーズ。ヘロンとは英語で白鷺(=Heron)を意味します。
華奢でありながら佇む姿に安定感がある白鷺をイメージの基としたのでしょうか、重厚さとはまた異なる存在感を放っています。
成型合板技術が可能にした複雑な曲線なフレームは人体の構造を踏まえた合理的なもの。頭部、肩甲骨、腰部、腕部、そして大腿部の重量を分散して受け止めるように曲げられており、その快適さは用がなくとも座ってしまいたくなるほど。安心できるボリュームのシートクッションもその理由の一つかも知れません。
そしてロッキング機構。前後に揺れる事で座ったままに荷重を移動できるため、座り疲れを起こしにくい、身体に優しい機能です。
最近はオフィスチェアなどでも人間工学を活かしたものが多くありますが、あくまでオンオフの「オン」の姿勢を前提としたもの。
「オフ」を前提とした姿勢を提供するロッキングチェアはあなたに良い寛ぎの時間を連れてきてくれます。
こちらのチェアにはおそらくオーダー品と思われる同素材のヘッドカバーが付属しています。取り外しも簡単なのでお手入れをして気持ちよくお使い頂けます。
肌が触れる事が多い箇所なので、嬉しいポイントです。
一日の終わりに背負っていた諸々を一旦肩から降ろして、赤ちゃんのゆりかごの様に揺らり揺られて一休み。
色々な事が目まぐるしく起こる昨今、メリハリをつけて乗り切るためにこんな素敵な椅子はいかがでしょうか?
オンラインショップからもご確認頂けますので、宜しければご覧下さいませ。