天童木工
スポークチェア
他のスタイルとは異なる空気を纏いながらも、人々の暮らしに寄り添う。
ジャパニーズモダンと呼ばれるそれらは今日も色褪せない魅力を放ちます。
特有の気品を纏いながらも確立された確固たる意識。
今尚多方面に影響を与え続ける名作たちは日本の巨匠たちが作り上げた魂の結晶と言えます。
モダンデザインと伝統との融合の道中は決してなだらかでは無かった筈。
ジャパニーズモダンの名作、スポークチェアをご紹介させて頂きます。
丁度良い安らぎ
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戦後の山形県旧天童市。
天童木工は大工や建具の職人たちが結成した家具建具工業組合から始りました。
持ち合わせていた技術は家具づくりに注がれることに。
それらは人々の記憶に残る名プロダクトにかたちを変えていきました。
職人技と最新技術を駆使しこれまでに無い家具づくりを進めた天童木工。
古き良き技術と相反する新技術はデザイナーの理想を高い完成度で仕上げました。
当時まだ新しかった成形合板技術を初めて実用化したのも同社だったそう。
この技術開発はデザインの幅を大きく広げることになります。
柳宗理や長大作、水之江忠臣や乾三郎。
そうそうたるデザイナーと共に名作を輩出したことでも知られる天童木工ですが当時は社外デザイナーを起用するブランドは珍しかったそう。
高い技術力と新技術実用化の飽くなき挑戦があったからこそ、巨匠たちのイメージを形に出来たのかもしれません。
今回ご紹介させていただくチェアもあるデザイナーが手掛けたプロダクトです。
伝統的なデザインに与えられたモダンな佇まい。
インダストリアルデザイナー、豊口克平氏がデザインを手掛けました。
低い座面とスポークの背もたれ。
広めの楕円の座面。
畳の上で過ごしているかのような感覚で姿勢を限定せず安心感を与えてくれます。
日本人の体格や生活習慣をリサーチし、家具デザインにおいての人間工学の考えをいち早く取り入れたことでも知られる豊口克平氏。
日本人のための椅子を生涯にわたり研究し暮らしに寄り添う良質な家具を手がけました。
スポークチェアが発表されたのは1963年のこと。
これは豊口氏がフリーランスとして独立した後の58歳の時でした。
美しいかたちに取り入れられた新たな心地。
このチェアは豊口氏がデザイナーとしての円熟期を迎えたころにデザインされた名作とも言われています。
大きく変化した日本人の生活スタイル。
巨匠たちはこれまでとこれからを想像し形にして見せました。
それらは今日まで確りと暮らしに寄り添い続けてくれています。
椅子上の丁度良い安らぎ。
普遍的な椅子の名作でした。