倉俣史郎
フラワーベース
アクリル、グラス、アルミニウム、スチールメッシュ。
それまで家具に使われることの無かった素材を用い、美しい形状を与えた世界的デザイナー倉俣史郎。
日常に作り出された非日常の衝撃は凄まじく今尚多くの人の美意識に強く訴えかけます。
「クラマタ・ショック」という言葉を生んだほどの名デザインたち。
本日ご紹介させて頂くのは、ポストモダンの一言では括れない圧倒的な存在感を放つ名プロダクトです。
非日常の浮遊感
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60年代から90年代にかけて世界的に傑出したデザインを手掛けたインテイリアデザイナー、倉俣史郎。
日本国ならではの美意識を感じさせる独自のデザインスタイルで知られ、数多くの名作を残しています。
生誕は1934年東京都。
桑沢デザイン研究所のリビングデザイン科を卒業しイタリアデザインに出会った倉俣氏はその後、店舗設計やショーケース、ウインドウディスプレイの仕事に携わっています。
その後1965年。
クラマタデザイン事務所設立。
グラフィックデザイナー横尾忠則とのコラボレーションなどを通じて注目を浴びることとなります。
その後の活動や作品は国内外問わず幅広く認知されるものでした。
1991年、急性心不全で亡くなるまで180点余りの優れた家具デザインを残した倉俣史郎。
それらは今尚強い存在感を放ち続けています。
「自分の思考の原点において確認するための手段」
倉俣氏はデザインする行為をこのように残しています。
機能性を求められる家具をデザインしているもののアート作品と言っても過言ではないものがそのほとんど。
同氏は使い心地ではなく夢心地を追求し日常の重力からの解放を求めたとされています。
儚くもアーティスティックな美意識はこれまでのプロダクトには無い色気を与えました。
アクリルブロックのフラワーベースは同氏の代表的な作品ともいえる名作。
1989年にデザインされました。
クリアのアクリルがピンクのアクリルを包みそれらの境界線は曖昧。
気体の様にも液体の様にも見える不思議な感覚は浮遊感や儚さを感じさせる倉俣史朗氏の独自の世界観そのものと言えます。
光の反射や屈折、影までもが美しくその存在感は圧倒的。
ガラス管は取り外し可能で手入れに配慮された点もプロダクトとして非常に魅力的です。
今回入荷したのは希少なビンテージアイテム。
旧製造工場の株式会社正高化工で作られた初期モデルです。
現行のものよりややオレンジがかったピンクが倉俣デザイン特有の浮遊感をより身近に感じさせます。
60年代から90年代にかけて世界的に傑出したデザインを手掛けたインテイリアデザイナー、倉又史郎。
同氏の作り上げた空気は人々が当たり前に持っている意識を軽やかに壊し、新たな意識を与えます。
日常に作り出された非日常の衝撃。
不思議な感覚を持って空間に佇む名作のご紹介でした。