Shiro Kuramata
TSUKUBA Writing Desk
「自分の思考の原点において確認するための手段」
家具デザインについて、こう語った倉俣史郎の作品は、自身の美学と感性が大きく反映されています。
本日はそんな倉俣作品の中でも、滅多にお目にかかれない希少なライティングデスクをご紹介します。
アートとしての家具
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倉俣史郎は、60年代初頭から90年代にかけて世界的に活躍したデザイナー。その独創性ゆえに欧米のデザイン界にも大きな衝撃を与え、「クラマタショック」という言葉が生まれたほど。
死後20年以上たった今もなお、多くのデザイナーから敬愛され、影響を与え続けるクラマタデザインの魅力を紐解いていきましょう。
こちらのライティングデスクは、モダニズムムーブメント最盛期の建物・つくばセンタービル内にあった、1983年開業の筑波第一ホテルの為にデザインされたもの。当時のポストモダンデザインを牽引した建築家・磯崎新と、倉俣史郎の二人の "芸術家" のコラボレーションにより造られた空間は、相当かっこよかったんだろうな、、と想像が膨らみます。
一見何気ないシンプルなデスクに見えますが、素材を見事に生かしながらも細部へのデザインのこだわりが感じられる秀逸な一台。
サイドから見たときの、吸い込まれるような奥行きのある造形美と幾何学的にも見えるデザインに、倉俣氏のアート性がしっかり感じられます。
収納ボックスは高さの異なる二段式。天板と右サイドにはコンセントが計5つあり、実用面においてもテレワークなどの作業にとても向いています。
全体的に直線ラインの美しさを大切にしたデザインとなっていますが、脚部や背板などの木目の曲線を取り入れることで、オーセンティックなホテルの "お部屋" という空間で安心感や温もりを感じてほしいという倉俣氏の心遣いが感じ取れるようです。
1990年代のバブル経済の崩壊により、経営母体の株式会社第一ホテルが2000年5月に倒産。ホテル客室や、カフェは大規模な改修が行われたため、倉俣史朗デザインによる家具・インテリアは姿を消してしまいました。こちらのライティングデスクはそのような状況下で破棄を免れた、とても稀少な倉俣作品。
日本が世界に誇る名手が手掛けた貴重な一台、なかなか出会うことのないライティングデスクです。ぜひ探されていた方はこの機会にいかがでしょうか。