Shiro Kuramata design
Writing desk
1983年に竣工した複合施設「つくばセンタービル」。
当時のポストモダン建築をリードし国際的に活躍した巨匠建築家の磯崎新氏によりつくばセンタービルはデザインされました。
日本のポストモダン建築の代表的作品であるつくばセンタービルの一角「筑波第一ホテル」の内装を担当したのはイタリアのデザイン運動「メンフィス」にも参加をし数々の名作を残した世界的有名デザイナー " 倉俣史朗 Shiro Kuramata " 。
今回は筑波第一ホテルの為に倉俣氏がデザインした希少なフルオーダー品 " ライティングデスク Writing desk " をご紹介。
1990年代のバブル経済の崩壊を引き金に経営母体が倒産し筑波第一ホテルは廃業してしまいました。
ですが倉俣史朗デザインの人気の高さもあり現在まで様々な展覧会が行われました。
近年開催された「Shiro Kuramata Cahier~倉俣史朗が愛した覚えがき」では筑波第一ホテルのインテリアが展示されるなど、その足跡は多くの人々が歴史的価値を見出しています。
筑波第一ホテルのシングル・ルームで使われていたと思われるライティングデスク。
倉俣史朗といえば工業マテリアルからなるデザインの追求を行い、ハウ・ハイ・ザ・ムーンやミス・ブランチといった正に夢見心地な自由さを感じさせる名作を生み出してきました。
今回のライティングデスクは倉俣氏の作風では珍しいと言えるプロダクト。
独特のデザイン性を内包した倉俣氏の素材の組み合わせからなる美しさやインテリアへの調和性を感じられます。
シンプルにも見えるデザインの中に造形美を感じさせます。
直線を基調としたフォルムにホワイトカラーのメラミン化粧板仕上げがアクセントに。
しかしながらオーク材の温かみのある表情のコントラストによりどこかノスタルジーを感じさせます。
アート性だけでなく、店舗デザインなどもキャリアで手掛けていた倉俣氏のホテルの一室という場所に合わせた感性も感じさせます。
休息での利用が一般的なホテルの一室のインテリアデザインは至ってシンプル。
チェックインする方々は観光や出張、どんな理由でもホテルに戻りお部屋で一息つきたいかと思います。
それと同時にやはりホテルというものに大衆はそのブランド的価値を見出します。
こちらのライティングデスクはホテルでの格式を、趣をしっかりと感じさせます。
天板と右サイドにコンセントを配置し、収納ボックスを2段備えています。
シンプルが故に現代でも機能性に問題なく在宅ワークでもお使い頂けます。
56歳の若さで逝去してしまった倉俣氏は、早すぎるキャリア絶頂での死によりデザイン史における研究や評価が宙吊り状態でありましたが、没後30年を機に展覧会が開かれたりと、再評価される機会などに巡り価値があがる一方の倉俣氏のデザインしたアイテム。
クラマタショックという言葉が生まれる程、あらゆる人々の記憶に衝撃を残しました。
おそらく現存する絶対数は少なく、かろうじて保管した方を通じて当店に巡りめぐってきました。
なかなかこの先で出会う事の無いであろう一品です。