sampei
table
商業主義に偏ったものや、流行に左右されるもの。
ものが溢れ大量生産による大量消費が当たり前となった現代、生み出される殆どは短命なものばかり。
ネームバリューばかり追い求める市場は本当の価値を見落とし名作を踏みつぶしてゆきます。
名前が無くとも素晴らしいものは存在します。
柳宗理は作家性を求めない「アノニマスデザイン」を理想とする姿勢を生涯貫きました。
意味を持って生まれる事が前提ではありますがそれらに命を与えるのは使い手でもありあます。
本当に良いものは見る人には判る。
無名の名作こそ名作だと気づかされます。
裏も表も、白も黒も
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60年代から70年代。
所謂ジャパニーズミッドセンチュリーモダンデザインの家具を手がけていた“三平興業研究所 Sampei Design Institute Tokyo”。
日本を代表するインテリアデザイナー、剣持勇氏デザインのプロダクトを手掛けていたことでも知られています。
高い木工技術と良質な材、ハイセンスなデザインは今日に残る名ビンテージに。
暮らしの中に潜むそれらは有名では無くとも強い魅力を放ち見る人を引き込みます。
このテーブルは恐らく70年代につくられたもの。
シンプルながら一言では言い表すことのできない深みは全ての箇所の調和によるもの。
用いられた材から造り、仕様まで、その全てがこのテーブルを特別なものに仕上げる要因になっています。
フレームの主材はチークの無垢材。
北欧ビンテージの印象が強いビンテージ家具のチーク材ですが60年代から70年代にかけて作られたジャパンビンテージの家具にも多用されています。
堅実でシンプル。それでいて退屈を感じさせない北欧デザイン。
その美しさは日本にも伝わり多くの工房が北欧家具をルーツとした家具を手がけました。
このテーブルに使用されているチーク材はどこか深く落ち着いた印象。
重厚ながらシャープでそれでいて上品。
丁寧な仕上げと経年変化が与えた特有の雰囲気に強く引き込まれます。
ユニークな面取りがなされた脚も印象的。
スラっと落ちる脚に与えられたこの加工がシンプルなデザインにリズムを与えます。
パーツ同士の接合部の美しさは息をのむほど。
丁寧に組まれており、一切の引っ掛かりを許しません。
ここで生まれる杢目と木色の境界線。
細部に与えられた細やかな装飾の様で思わず触れたくなるような箇所に仕上げられています。
天板は色違いのリバーシブル。
ハイセンスな仕様に驚かされました。
白の面と黒の面。
品格を損なわずに異なる表情を見せてくれます。
メラミントップは水や汚れにも強い為ストレスなく使用できます。
60cm×60cm×45cmの設計も完璧。
用の美を強く思わせる箇所です。
プロダクトのデザイナーや製造会社を追い求め、それに見合った価値をつける。
この人が作ったのならこの価値で、これは無名だからこの価値で。
それじゃつまらないし、良いものの見分けがつかなくなる。
「デザイン」という言葉すら一般に知られておらず、安価に作れる質の悪いプロダクトが多く出回っていた戦後の日本。
空っぽのプロダクトでも大半の人は満たされることを知った社会は使い捨ての傾向を加速させました。
そんな中でも確かに抗う本物は存在します。
ものの価値は見栄えの良さだけではありません。
裏も表も、白も黒も。
ものの命は全ての箇所に宿ります。