vitra
Prismatic Table
あの有名なコーヒーテーブルを剛とするならば、このサイドテーブルは柔。
もともと限定生産だったあのフリーフォームなソファを石とするならば、このサイドテーブルは万華鏡。
そしてあの温かなあかりを灯す照明を和紙とするならば、このサイドテーブルは折り紙。
それぞれのイメージやストーリーを宿す、イサム・ノグチ(Isamu Noguchi)の家具。今回の主役は、サイドテーブルです。
最後にたどり着いたのは
>>この商品の詳細を確認する
愛用しているのは「あかり | AKARI」だけですが、個人的に3本の指に入るほど大好きなデザイナーのひとり、イサム・ノグチ。
たくさんのレジェンドデザイナーによるミッドセンチュリー家具がインプションに集結する中で、実際にお店に並べたいと思わせたのはやっぱりノグチ作品でした。
「プリズマティックテーブル | Prismatic Table」は、もともとアルミニウムメーカーの広告のために制作されたサイドテーブル。
実際、素材にはアルミニウムが使われていて、その特性を生かすようにデザインされていることが分かります。
シート状のアルミニウムを3枚折り曲げて繋げた単純かつ軽快な構成。この折り込んで連結させるというアプローチの源となったのは、折り紙だそうです。
今でこそ日本の伝統や文化を取り入れたデザインに出会うことは珍しくありませんが、ミッドセンチュリー期のアメリカにおいて日本を感じさせてくれるのは意外にも同氏だけかもしれません。
天板を上からのぞくと六角形。でもひとつひとつのパーツはひし形。そして側面から見る脚部は三角形。
見る角度で異なるリズミカルで遊び心のある幾何学フォルムは、複数台を繋げて大きなセンターテーブルを構築することもできるユニークなデザイン。
事実、現在vitra(ヴィトラ)社で販売されるマルチカラータイプは、グレーの濃淡が連なることでそのさまが万華鏡のようとも称されているようです。
だからこそ、もちろん現行カラーも捨てがたい。でも廃番となってしまったこの単色ホワイトは、よりそのフォルムを際立たせながらインテリアに佇む凛とした清々しさがあります。
どちらかというと自然の造形を想像させるデザインが多い印象のイサム・ノグチの家具。やはりそこには、彫刻的な要素が漂っているのでしょう。
故にアシンメトリーな造形で自由に有機的に作られているイメージが強いのですが、このサイドテーブルはシンメトリー。良い意味で概念を覆されます。
これこそが氏の最後にたどり着いた形(最後の家具作品)。日本の美意識を結実した今はなきホワイトカラーで、シンプルにその造形を嗜んでいただきたい1台です。