vitra.
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このブログをご覧の皆様方におかれましては、新年あけましておめでとうございます。本年が昨年に引き続いてより良いものとなりますようご祈念申し上げます。
インプションは2025年、本日より営業開始。日差しは柔らかですがいかんせん低すぎる気温と風が身体に染みるお日和です。そんな中でご紹介させて頂くのは昨今再評価が高まる90sの名脚。
ポストモダンを経て、人々が求めた形を探る事の出来るアイテム。是非ご覧になっていって下さい。
削るまでもなく
今回はスイスのファニチャーブランド、ヴィトラ | vitra.。デザイナーズプロダクトと言えばファーストコールが掛かる程の高い知名度と実力を誇る企業です。
最先端の科学技術を生かし、それを必要な場所へ結びつけるデザイナーとの協働を行い、そしてデザインというものを歴史を含め総括的にとらえるヴィトラは正にデザイナーズプロダクトの最先端。その足跡は後年振り返った時に避ける事の出来ない輝きを残しています。
今回はベルギーの建築家・デザイナーのマールテン・ヴァン・セーヴェレンによるチェア、.03(ゼロスリー)。デザインは1998年。
氏は父は抽象画家、兄もデザイナーという恵まれた環境に出生。建築を学び自身の設計事務所を構えたあと、椅子・テーブル・棚という実用的で自身が部屋に必要と感じたアイテムをデザインします。
端正でありながら、使う人を問わない懐の広さを持つプロダクトたち。
例えばアルミニウムの一枚板を曲げる事でホスピタリティを表現するラウンジチェア「LC95」、規則正しいフォルムの中にアルミや合板といった異素材、そして様々な色味が花を添えるシェルフ「KAST」。
良い意味でムラの無い純粋なデザインは、時間によって少しずつ不要な要素が削ぎ落されたアノニマスなプロダクトとはまた異なる、モダンでミニマルな印象を与えてくれます。
今回のゼロスリーはその名の通り3番目にデザインされたもの。
その前段にあたるCN° II(椅子番号2)という全体がアルミで作られた1脚から、新たな進化を得ています。
それを良く表すのが、一体型のシート。それまではアルミニウムのいうなれば板座であったものに取って変えられたのはポリウレタン。インテグラル成型という金型にウレタンを注入する製造技術を採用する事で、樹脂のしなやかさに加えて独特なドライタッチが心地よい表面処理、そしてカラーバリエーションまでを獲得しています。
背もたれにはスプリングが内蔵され、シートは腕で押し込むとグニッと曲がるのに座るととても安定感があります。
これに加えてスタッキングも可能と高い汎用性を持つゼロスリーは、当時フレッシュであった高いデザイン性に加えて多くの人が使いやすい1脚として認知される事となったのです。
自室、廊下、ミーティングスペース、ロビーと置く場所を選ばず、一筆書きのようなシルエットは確かなモダンを表すゼロスリー。
形に美しさがあるからこそ、色違いで遊んでみても楽しいかも知れません。
とお話している間にブラック×ブラックのゼロスリーはSOLDに。アンテナを張っている方には云わずとも伝わる魅力があるようです。
気になる方は、どうぞ選べるうちにお気に入りを迎えてみてはいかがでしょうか。