vitra
Standard chair
20世紀を代表する巨匠建築家 "ジャン・プルーヴェ Jean Prouve"。
フランスきっての名デザイナーであり、1937年のパリ万博では "ル・コルビュジェ" や "ピエール・ジャンヌレ" と共同でバスルームを製作出品するなど優れた才覚で活躍。
その後"プレハブ工法"を実際に世界に普及させる等、建築生産の工業化に広く貢献した事で知られています。
本日は、そんなジャン・プルーヴェを代表するデザインチェア「ヴィトラ vitra スタンダードチェア Standard chair」のご紹介です。
清々しく、軽やか。
1930年代から幾度もの試作を重ねながら生み出された「スタンダードチェア」。
何処となく親しみのあるフォルム、スチールと木材という素材同士の組み合わせが心地よく、人の心にすっと入るような存在感が魅力です。
ジャン・プルーヴェがデザインに追い求めたのは「より機能的で美しく、より効率的に製造できる」ということ。
その卓越したデザイン観はそれまでのプロダクトデザインの在り方を大きく変え、根底的な部分からのスタンダードを確立したと云われています。
「スタンダードチェア」はまさにそんなジャン・プルーヴェの意匠を忠実に表した作品であり、 "その後の椅子デザインの雛型"とも言われる一脚。
1980年代に生産終了してからも、多くの建築家やコレクターから熱い支持を集め、2002年にスイスの名門 "ヴィトラ vitra" が復刻したことで、その名デザインをより多くの空間にも取り入れられるようになりました。
つやつやと厚塗りされた脚部のペイント感が、個人的にお気に入りのポイントです。
後ろ脚のフォルムがなんともアイコニックな装いとなっていますが、こちらは構造力学に基づいた建築家であるジャン・プルーヴェならではのデザイン。
人が椅子に座った際の力の掛かり方は前後の脚部で同じではないので、より強度と安定性を高める為にこのような形状となりました。
真正面から見た際には通常のチェアと変わらないシルエット、しかし見る角度を変えることで様々な表情を魅せてくれるその佇まい。
モダンデザインとしての機能美と遊び心が両立されているようで、単なるアクセントとは一線を画す説得力があり、優れたモダンデザインであることが伝わってきます。
脚部はスチール製で、スチールパイプとスチール板をそれぞれ造形し組み合わせるというシンプルで合理的な作り。
後ろ脚は空洞なので、堅牢でありながら軽量です。
座面は穏やかにカーブを描いており、こちらはプライウッドの技法を採用したもの。
オーク材の明るく活き活きとした表情がよく表れており、清潔感にも溢れる素材感です。
こういった作りや素材の良さは、デザイン自体がシンプルなスタンダードチェアだからこそ叶えられるもので、ヴィトラ社のクラフトマンシップがデザインとしても活きた一脚と言えるでしょう。
ナチュラルオーク×クリーム系のホワイトカラーによるコントラストも素敵ですね。脚先はブラックではなくブラウンカラーというのもまた心憎いチョイスです。
空間に軽やかに映え、様々なテイストの空間にぴったりともマッチしてくれます。
ダイニングには勿論、書斎用のチェアとしても魅力的ですし、店舗空間等のインテリアとしても絶大なアクセントを添えてくれるでしょう。
実際に座ってみると、こんなにもシンプルなデザインであるにも関わらず確りとした安定感があり、木製シートですが絶妙に身体にフィットする造形で、安心して身を預けることができます。
是非この機会に、名実共に一流の名作「スタンダードチェア」でお使いの空間を彩ってみては如何でしょうか。