vitra Standard

歴史的名作家具というと思い浮かべるであろう様々な名作チェア。 椅子は最も複雑な構造を持つ家具として知られておりこれまでに多種多様なデザインが生み出されてきました。 本日紹介させて頂くのは美しい構造と快適な座り心地を持つ隠れた名作。 「スタンダード」の名がつけられた名プロダクト。 椅子へのあくなき挑戦が生んだ一脚のご紹介です。

構造美学

>>この商品の詳細を確認する 今回ご紹介させて頂くのはスイスの家具メーカー“ヴィトラ Vitra”の「スタンダードチェア」。 1934年に大学用の椅子としてデザインされた歴史の長いチェアです。 今でさえ名作チェアの一つとして数えられるスタンダードチェアですが、実は日本ではあまり一般的に普及をしていないプロダクトでもあります。 デザインを手掛けたのはフランスの建築家 ジャン・プルーヴェ。 スタンダードチェアは彼の代表的作品として知られるプロダクトです。 実はこのチェアは、2000年代の初頭のフランス国外において建築家やコレクターなどのごく一部の人々にしか知られていませんでした。 故にスタンダードチェアは隠れた名作として少数の熱狂的なファンに愛されていたチェアだったのです。 そんなスタンダードチェアが世界的に注目されたのは割と最近のこと。 2002年にヴィトラ社が復刻したことがきっかけでした。 美しい構造と快適な座り心地は多くの人々に認知されることになります。 スタンダードチェアの特徴は前後対照的な脚。 幅広に作られた三角形の後ろ脚のフォルムに心を奪われたファンも少なくありません。 一見して気づくこのポイントは見た目の良さだけではなく座り心地にも影響を及ぼします。 椅子に座った際、後脚に最も負担がかかるという椅子の本質を見抜いたジャン・プルーヴェ。 比較的負担の軽い前脚は細いスチールパイプ仕様に。 後脚は、より大きい負担を支えるために中空の鋼板を採用し椅子への負担を軽減させました。 この構造が椅子にかかる重さを床へ逃がしながらも座るとしっかりとサポートされているような感覚を与えてくれます。 スタイリッシュで無駄のない魅力的なデザインは理にかなった構造美といえます。 少数の熱狂的なファンに愛されていたスタンダードチェア。 発表されてから80年の歳月、多くのカラーバリエーションが発売されたました。 コレクター心をくすぐる点でもあるのですがそのカラーの組み合わせは数えきれないほど。 既に廃盤になっているものが殆どなのでコレクター泣かせとも言われています。 このフォルムと座り心地の共存は簡単に生み出されたものではありませんでした。 ジャン・プルーヴェはこのチェアを生み出すために3つの試作品を作り研究を重ねたそう。 椅子へのあくなき挑戦が目指した椅子。 パーツの素材や構造、負担のかかり方、それらをすべてクリアしたからこそスタンダードの名がつけられたのです。 腰かけた際にスタンダードの所以を実感していただけます。 このフォルムと座り心地に気づけばファンになっているはず。 隠れた名作のご紹介でした。