Laukaan puu
Pirkka stool
空前のサウナブーム。今でこそ、“ ととのう ”ことが日常的になりましたが、その起源はフィンランドなんだそうです。
いわゆる蒸し風呂は、お湯に浸かる湯風呂の習慣よりももっとずっと古く、その歴史はなんと2000年以上だなんて全く知りませんでした。
サウナはフィンランドの人にとっては国民的慣習。そして神聖な場所。それは、家具にも影響を与えるほどに、“ 伝統 ”として生活に根付いているのです。
満たされる。
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後に続く、チェアやベンチ、テーブルといったピルッカシリーズの第1弾として1955年に発表された、「Pirkka stool |ピルッカスツール」。
新素材として注目していたスチールから人々に親しまれ受け継がれている伝統を重んじたデザインへ方向転換したことで生まれた、Ilmari Tapiovaara(イルマリ・タピオヴァーラ)の代表作です。
現在は、Artek(アルテック)にて復刻生産されていますが、座面の裏を見るとこちらの刻印は「Laukaan puu(ラウカンプー)」。
デザイン誕生の1955年から1960年代半ばまでの約10年間、本当に短い期間だけ製造されたビンテージ品の証です。
当時から座面に用いられているのは、緩やかなカーブを描いた2枚のパイン材。
サウナの休憩時に腰掛けて涼むための椅子として、素肌にも優しい触り心地を実現するために、柔らかい木質が選ばれたのでしょうか。
さらに、あえて隙間をつくり木ダボを見せるデザインは、ちょうどピルッカスツールと同時期につくられたフィンランドのサウナスツールに共通するデザイン。
ピルッカが先か、それとも後か。熱くなった身体を直に受け止める場所だからこその工夫だったのかもしれません。
ちなみに、脚部は強度のあるバーチ材。小枝のような可愛らしいフォルムが、「ピルッカ=華奢で素朴」の印象を完成させている最大の要素だと思います。
でもこの構図だと、両手を挙げて精一杯座面を支えている4人、みたいな景色にも見えたりして。また違った可愛さを発見してしまいました。
ただ、遠目に見ると可愛さだけでなく、凛々しさや潔さが感じられるのも、このスツールが今も昔も引く手数多な所以。
フィットする掛け心地とそこにあるだけで楽しめるデザインの奥ゆかしさに、見るものすべてを魅了して止みません。
そういえば忘れていましたが、座面の“ 穴 ”はこう使います。
フィンランドではサウナのクーリングは屋外。好きな時に好きな場所で休むために、持ち運びができる仕様になっています。
というわけで、こんなシチュエーションでも活躍するピルッカスツール。青空の下の読書、気持ちがよさそうです。
なかなかサウナ用として使う勇気はありませんが、家の中でも外でも、座っても座らなくても、置くだけでもいい。
あるだけで満たされてしまうほどに、ピルッカは心も身体も空間もととのえてしまうのです。