JOHANNES HANSEN
The Chair JH503
こんにちは、コウスケです。
北欧家具の歴史を語る上で、欠かす事のできない存在であるHans J Wegner(ハンス・J・ウェグナー)。
ピーコックチェアやYチェアなど、誰もが知っている椅子を数々と創り出してきました。
本日は、生涯で500種類以上の椅子を世に送り出した彼の作品の中でも、「最も完成度が高い」とされる代表作、
The Chair(ザ・チェア)をご紹介させて頂きます。是非最後までお付き合い下さいませ。
ひときわ美しく、人を引き立たせる名作
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ウェグナーは靴職人である父親のもと1914年にドイツにて誕生。13歳から家具職人の下で修業をはじめ、17歳の時には指物師のマイスターの資格を取得しました。
その後、アルネ・ヤコブセンの事務所に勤め、デンマーク第二の都市であるオーフス市庁舎をデザイン。独立以降、Yチェアやピーコックチェアをはじめとする数々の世界的な名作チェアを世に送り出して来ました。
「椅子の中の椅子」という敬意を込めて名付けられた、ザ・チェアはウェグナーが1949年に発表したもの。
しかし今では到底考えられませんが、そのシンプルで素朴なデザイン故に、華やかなデザインや新素材を多用してデザインされた家具が多く発表されていた当時では、異質を放つ存在となり「みにくいあひるの子」と揶揄されていました。
そんな「みにくいあひるの子」ですが、あるきっかけを機に世界的な評価を得るようになります。
それが、ジョン・F・ケネディのアメリカ大統領選のテレビ討論会。椅子としての美しさや存在感を持ちつつ、主張しすぎないデザインとJFKのカリスマ性が相まって、テレビを見ていた多くの人に知られるようになりました。
一見シンプルなデザインですが全てが計算し尽くされているのが、ウェグナーの魅力。
やや内側に傾斜しているアーム部分は、腕を置いたときのおさまりがとても自然。また、滑らかに削られ、柔らかく上質な触り心地。背からアームに流れる緩やかな美しい曲線はとても印象的です。
やや横幅の広い座面は、少しカーブし腰を下ろすと包み込まれる様なフィット感、身体に負担をかけないゆったり出来る造り。脚部は脚先に向けて緩やかに細く伸び、エレガントな佇まいを演出しています。
椅子のどの部分にどの杢目のパーツを使うかさえも計算し尽くされています。
例えば、背もたれに使用されているこちらのパーツ、美しい大きな杢目が左右対称となるように、削られ繋ぎ合わされています。また、当初は直角であった背もたれのジョイント部分ですが、現在ではフィンガージョイントに改良され良いアクセントとなっています。
抜かりないのはデザインだけではありません。
使用されているのは、北欧ビンテージの家具では定番の美しい木目と赤みを帯びたブラウン色の色合いが特徴であるチーク無垢材。耐久性・耐水性に加えて防菌・防虫性にも優れており、17世紀には英国海軍の大型帆船などにも使われていました。
現在はPPモブラー社にて製造・販売を行っているため、1992年の廃業以前に製造されたヨハネスハンセン社の初期モデルの現存数の極めて少ない希少品と言われています。
更に、こちらは当時アメリカのKnoll(ノル)社向けに製作したものと思われ、ノルのブランドシールとヨハネスハンセンの焼印とのダブルネームとなっています。
座面はデンマーク製の本革シートに張り替えを行っており、新品さながらの座り心地。一方で風合いが増したチーク材の温もりがお楽しみ頂ける、とても贅沢なアイテムです。
北欧デザインの巨匠であるウェグナーが生み出した、歴史的で大変希少な逸品。
ひときわ美しくありながら、人が座ると途端に椅子の存在が消え、その人の存在を引き立たせる名作です。
是非この機会お見逃しなく。