FRANK LLOYD WRIGHT
TALIESIN 1 MINI
優れたデザインの照明は、単に暗闇を照らすためだけにあるのではありません。
そこにある空間の表情を変え、雰囲気を生み出し、時には人の感情にまで影響します。
建築が空間を形づくるものであれば、照明やインテリアはその空間に命を吹き込む存在です。
今回ご紹介するのは、近代建築の巨匠が生み出した、まるで芸術作品のような照明です。
建築の巨匠が手掛ける、自然に溶け込む照明
20世紀を代表する建築家、フランク・ロイド・ライト。
ル・コルビュジエ、ミース・ファン・デル・ローエと並び、「近代建築の三大巨匠」と称される存在です。
日本においても、旧帝国ホテルをはじめとする数々の名建築を手がけ、その革新的なデザインは今なお高く評価されています。
そんな世界的建築家が生み出した照明、『TALIESIN / タリアセンシリーズ』のスタンドライト。
このシリーズは、ライトが設計した工房兼自邸「タリアセン(ウィスコンシン州スプリンググリーン)」のためにデザインされたもの。
もともとは自邸のためだけに制作されましたが、その独創的な造形と優しい灯りに魅了されたクライアントの要望により、やがてさまざまな住宅で採用されるようになりました。
直線を基調としたモダンなシルエットが特徴。
ライトは幼少期に四角形・円・三角形のブロックを遊び道具として与えられ、それらを組み立てながら創造力を育んだといわれています。
その影響は彼のデザイン哲学にも色濃く反映され、幾何学的な美しさを追求した建築を数多く生み出しました。
彼の代表的な建築様式である、方形の屋根。
そのエッセンスを取り入れた四角錐のシェードは、どこか日本の建築美を思わせる趣を持っています。
また、フレームにはアメリカン・クラフトデザイン特有の温もりを表現するため、チェリー材が使用されています。
木の持つ優しい風合いが、デザインの存在感をより際立たせています。
オリジナルのタリアセンは、ライトの自邸「タリアセン・ウエスト」にのみ設置されていました。
しかし、フランク・ロイド・ライト財団の全面的な協力のもと、日本のヤマギワ社が現存する図面をもとに現地調査を重ね、精密な試作検査を経て復刻。
こうして、世界で唯一の正規復刻品が誕生しました。
現在もなお、ヤマギワ社はその製作を続けています。
ライトの建築哲学の根幹には、"自然との共存"があります。
彼が手がけた建築は、外の風景と調和し、まるで自然に溶け込むようにデザインされています。
そして、この照明もまた、その思想を映し出した作品のひとつといえます。
まるで彼の建築の一部を切り取ったかのような、精緻なデザイン。
光と影が織りなす造形美は、ただの照明ではなく、空間そのものを変える芸術品です。
世界的建築家が生み出した、名作照明のご紹介でした。