MODERNICA
Fiberglass Arm Shell Chair
“ミッドセンチュリーモダン”が誕生した50年代のアメリカ。
戦後に登場した新素材はデザイナーたちに可能性を与え、多くの名デザインに形を変えました。
今日でもその魅力が色褪せることはありません。
しかしそれらが生産されていたのは半世紀以上も前の事。
新たな素材は日々開発され当時を彩った新素材は過去のものに。
如何にコストを抑え環境へ配慮するかを目指したものづくりは時にデザイン本来の魅力をそぎ落としてしまいます。
本日ご紹介させて頂くのは、いまのものづくりに抗いリスペクトのもとに当時のプロダクトを製造するメーカーが手掛ける逸品です。
時代が無くした部分を補う情熱
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既成概念に捉われない独自のデザイン哲学を掲げ多くの名プロダクトを手掛けたチャールズ&レイ・イームズ夫妻。
彼らは木製家具が当たり前だった時代に当時の新素材であった強化ガラス繊維入りのプラスチック素材に着目しました。
家具は木製が当たり前とされていた当時、安価なイメージのプラスチック素材を使用したチェアは多くの人々に衝撃を与えることに。
コストや生産量を重きに置く時代を逆手に取り、プラスチック素材の自由度の高さに着目したのです。
そして完成されたのがミッドセンチュリー期の普遍の象徴ともいえる名作、このアームシェルチェアです。
一体成型する手法により生まれる美しいフォルム。
つなぎ目のない滑らかなシェルはイームズ夫妻の長年の夢でした。
緩やかな美しい曲線の背座一体のフォルムは、眺める角度によって様々な表情を楽しめます。
スノーフレークと呼ばれる強化ガラス繊維の模様も美しく、木材には無い魅力を存分に感じさせました。
適度な弾力を持つ座面は、身体をゆっくりと包み込み、想像以上に柔らかく快適な座り心地を実現。
デザイン性や合理性だけでなく圧倒的な機能性を兼ね備えたプロダクトは正にデザインの到達点とも言えます。
しかし60年代にはポリプロピレン製のシェルチェアの大量生産が可能に。
より低コストで環境に良いとされる新素材の登場と時代の激しい流れは強化ガラス繊維入りのプラスチックを過去の素材にしてしまいます。
世界を変えた名プロダクトは新素材で作り直され、味気ないものへと姿を変えました。
そんなものづくりの流れに逆らい、当時のままのプロダクトを作ろうとするメーカーが現れます。
それがこのアームシェルを手掛けた“モダニカ MODERNICA”でした。
初期のアームシェルチェアの製造を手掛けていたとされるゼニス社。
含まれるファイバー量の多さから生まれる特有の質感と独特の調合によるカラーリングが特徴のビンテージはファンの憧れ。
モダニカはこのままを再現する為、ゼニス社のプレス機を製造した技術者であるサール・フィンガーハット氏を探し出し製造監督として招き入れました。
目指すは50年代に作られた名作、ファイバーグラス入りのアームシェルチェア。
用いるファイバーグラスもゼニス社で製造していた時と同様「Owens Corning Co.」のファイバーグラスカンパニーから仕入れるといったこだわり様。
カラーも発表当時のレシピで調合を行っています。
ファイバーグラスを型に吹き付ける。
分量を調整し塗料を注ぐ。
そして高温のプレス機で圧縮。
バリ取りやヤスリ掛け、パーツの取り付けに至るまで当時同様すべて手作業。
込められた強い拘りとプロダクトへのリスペクトはふたつとないシェルチェアへと姿を変えます。
軽やかな名作と、時代が無くした部分を補う情熱。
これこそ名プロダクト。
このままでは触れることのできなかったイームズ夫妻の夢のかたちを、モダニカが叶えてくれます。