MEMPHIS TAHITI
Ettore Sottsass design
先日、経堂店になんともカラフルな鳥(?)がやってきました。
品種が分からなかったので”カラフル 鳥”で調べて見たもののヒットせず。
何か手掛かりがないかとよく観察してみると、お尻に何か書いてある。
『TAHITI』。
なんとそれは、ポストモダンを代表する名作だったことが分かりました。
ポストモダンの教科書。
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溢れ出るワクワクとドキドキを隠しながらゆっくり調べていきました。
まず、ポストモダンとは何を指すのでしょうか。
いわく、「近代から脱却することを目標に、20世紀中葉から後半にかけて、哲学・芸術・建築・評論などの分野で流行した広範な思想運動である。広義には、近代のあとに続くと考えられている時代とその傾向を指す言葉」だそう。
いや、何言ってるのかさっぱり分からん。って思われたかと存じますが私も同じこと思ったので安心してください。
簡単に今風に言うなれば「装飾のない地味なものってつまらないよね。じゃあカラフルでポップなデザインで楽しくしちゃおう」とご理解頂ければと思います。
そんなポストモダンシーンを牽引し、1980年代の一時代を築き上げたデザイン集団があったそう。
その名は『メンフィス MEMPHIS 』。
一切の無駄を省くモダンデザインからの脱却を図り、今までにないカラフルな配色と抽象的で奇抜なデザインで一時代を築き上げました。
1981年から1988年という短い活動期間でしたが、その革新的なデザインは30年以上経った今も尚、世界中で評価され続けています。
(ちなみに、メンフィスには日本人も参加しており、日本を代表するポストモダンデザイナー倉俣史郎、昨年惜しまれつつも亡くなられた磯崎新、そして梅田正徳がメンバーに加わっています。)
メインメンバーには、ミケーレ・デ・ルッキやマルコ・ザニーニなど世界を代表するデザイナーが集結。
ですが驚くことに、そんなそうそうたるメンツを束ねている中心的人物が存在しました。。
その名は、”エットーレ・ソットサス Ettore Sottsass”。
建築家でありながら、シンプルで合理的なデザインから脱却するようなポップでカラフルな作品を多く世に残したことで有名です。
メンフィスがポストモダンデザインシーンを駆け抜けていけたのは、ソットサスがその礎を築いたからと言っても過言ではありません。
彼が中心となって、メンフィスグループを、ポストモダンデザインを世界に知らしめるデザインムーブメントを、革命を巻き起こしました。
(ちなみに「メンフィス」という名前は、メンバーがエットレ・ソットサスの家に集まっていた時に流れていたボブ・ディランの曲に由来しているそう)
メンフィスグループが創設された1981年。
鬼才ソットサスが手掛けた作品がミラノで行われた、第1回メンフィス展で発表されました。
その名は、『タヒチ TAHITI テーブルランプ 』。
こちらは、そう。今回経堂店にやってきたカラフルな鳥です。発表から40年以上たった今でも名作と謳われる逸品です。
実際には鳥を模しているのかどうかは定かではありませんが、鳥のような可愛らしい姿は今にも動き出しそうなほど非常に有機的です。
丸、三角、四角、コントラストの強いカラーリング、幾何学模様(その独特さからバクテリアとも呼ばれているそう)。
自由な色使いや柄、素材、フォルムは、既成概念に囚われることを知りません。
アートに寄った照明。いや、もはやアートと言っても過言ではなく、”道具としての照明”の一面をいい意味で全く感じさせない遊び心を感じられます。
ポストモダンの旨味を全て凝縮しています。
あまりに自由過ぎるからさすがに実用的ではないだろう、と高を括っている方へ。
確りと照明としての機能も備わっていますのでご安心を。
ピンクのヘッドを回すことにより赤い嘴(シェード)を上下に角度を調節できます。上を向いた姿はなんだか魚を食らう鳥みたいで可愛らしい。
温かい暖色のハロゲン球も空間に温もりを与えてくれそうです。
一生で一度お目にかかれるかどうかの作品。ブログを書かせて頂くにあたってワクワクとドキドキがとまりませんでした。
そんなこんなで経堂店にずっといればいいなとも思ったり。
ですが、出会いに別れはつきもの。
もう少し傍で見守ってあげたかったですが、次の住処へ旅立ってしまいました。
大切にお使い頂けることを願うとともに、また違うタヒチがやってきてくれることを祈っています。