マルニ60
フレームチェア 3シーター
時代を超えて愛され続けるものは、概して過度な装飾がないと言えます。
必要なものだけを残した普遍的な造形は、年月を経ることで深みのある表情が加わり、その寡黙な佇まいと歴史を感じさせる雰囲気の間にコントラストが生じます。
このコントラストが自然と視線を引き付ける引力となるのです。
車で言えば、フィアット パンダや初代ゴルフ。

どちらの車体もジョルジェット・ジウジアーロが手掛けたデザイン。
定規で引いたような箱形のフォルムには、彼の「機能を突き詰めた美しさ」という思想を垣間見ることができます。
本日紹介する”マルニ60 フレームチェア”にも、そんな「流行ではなく、生活のための機能を突き詰めた道具」としての美しさを感じました。

フレームチェアは、マルニ木工が当時発売していた「No.79(みやじま)」と呼ばれる商品の復刻が軸になっています。
ノックダウン式のNo.79は収納、持ち運びの容易さとセパレート型の機能性が特徴。
「みやじま」という愛称は、肘から脚にかけてのパーツが鳥居に見えることから、創業者の山中武夫氏が故郷である広島県宮島の厳島神社になぞらえて「みやじま」となったと言われています。

惜しまれつつ廃盤となったNo.79は、約30年後にマルニ60の立ち上げと同時にオークフレームチェアとして復活しました。
ソロモンマホガニー材から、オーク材に。
初期のウレタンフォームだったクッションはウレタンと羽毛の積層構造に。
背クッションは羽毛と人工綿で羽毛の柔らかさを最大限に感じることができ、座クッションは羽毛の柔らかさを保ちながらもウレタンフォームを重ね合わすことで長く座ってもへたりずらく、座った時の底突き感を感じさせない造りをしています。

ライフスタイルの変化に合わせて自由に組み合わせができる柔軟性を兼ね備えたフレームチェア。
クッションがフレームに乗せる構造の、それぞれが独立したセパレートタイプはお手入れのしやすさが魅力。
付属する連結バンドを用いることで間取りや、その日の気分に合わせたレイアウトに変更できます。

木とクッションのコントラストが印象的なフレームチェア。
機能美を感じさせる細身のフレームは、軽快な抜け感を生み出し、重厚感のある黒いレザー風のクッションでも空間が重くならず簡単にお部屋に取り入れられるでしょう。
木の温かみと、レザー調のコントラストは、ナチュラルテイストからミッドセンチュリー、北欧、和室まで幅広いインテリアスタイルとなじんでくれます。

道具は買った瞬間が完成ではなく、使う人の暮らしの中で少しづつ馴染むことで完成します。
木のフレームに刻まれる表情や、クッションの変化もまた、その家具だけが持つ時間の記録になります。
今回のフレームチェアはクッションが新品ですので、最初からソファの表情の変化をより楽しむことができるでしょう。

フィアット パンダや、初代ゴルフが移動するための機能を突き詰めた結果、美しいデザインとして今も愛されているように。
フレームチェアも、座るという生活の基本的な行為を見つめ、その機能を磨きあげた椅子です。
飾るためではなく、使うために生まれたデザイン。
だからこそ年月を経ても暮らしの中に自然と馴染み、持ち主の歴史を経年変化として記憶する。
これから先も定番として残り続ける一脚なのだと思います。































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