Martinelli Luce
Serpente Table Lamp MOD599
インスピレーションの対象が同じであっても、デザイナーによってそれぞれに異なる表現の仕方。
こんな風に見えているんだとかこんな風に形作るんだとか、納得したり驚いたり感嘆したり。
それを知った時のわくわくを味わいたくて、どのデザインも何がモチーフになっているのかを知りたくなってしまうのです。
自然に感性を吹き込む
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イタリア生まれの照明デザイナー、Elio Martinelli(エリオ・マルティネリ)。
もともと舞台美術家を目指していたそうですが、父親の家業を継ぐ形で、自身の照明ブランドMartinlli Luce(マルティネリルーチェ)を設立しました。
Foglia(葉)、Bolle(泡)、Cobra(コブラ)、Nuvole vagabonde(さすらいの雲)、Rondini(ツバメ)、Cavallo Pazzo(狂気の馬)。
氏のデザインのモチーフはそのまま名称になっているものが多く、そのほとんどが生物や自然物だという点もまた非常に興味深く感じられます。
そして、1965年に誕生したこのテーブルライト「セルペンテ | Serpente」は蛇。丸いシェードが頭、アームからベースが胴体とするととぐろを巻いている状態でしょうか。
ヘッドが水平にスライドする滑らかで静かな動きも同時に伸びるアームのぐにゃりとした形状もまさに蛇そのもの。すべてのパーツを余すことなく使って表現されています。
それでも、ここまでモチーフが明瞭に表れているにも関わらず、与える印象は生物的な感覚ではなく有機的なモダン。
氏のデザイン力があるからこそに他なりませんが、当時はまだ新素材だったアクリルの艶やかな質感によるところも大きいのかもしれません。
さらに、スペースエイジ真っ盛りの時代に生まれたことを象徴するかのようなホワイトとオレンジのカラーコンビネーションに漂うレトロ感と近未来感。
現行で製造されるオールホワイトやゴールドフレームとは異なるこの配色はビンテージアイテムでしか味わえないモダンスタイルなのです。
イタリアンデザインの照明デザイナーとして世界的な成功を収めたエリオ・マルティネリ。彼のデザインは、常に自然と共にありました。
もしかすると舞台美術家という夢の続きを、照明で表現しているのかも?そう考えると、モダンなんてひと言ではなんだか物足りないような気がしてきました。
シンプルな自然に素材と色と感性を吹き込んでアーティスティックにデザインされたセルペンテが放つのは、みなぎる生命力。
やっぱり、デザインの根元を知ることができてよかったと思うばかりです。