HOUTOKU / Artifort
F976 Lounge chair
インテリアスタイルで言うところの「スペースエイジ」。
ポップな色使いとどこか懐かしい丸みを帯びた可愛らしい造形をまず思い浮かべるかもしれません。
人類がまだ見ぬ宇宙の領域に足を踏み入れた60年代、多くの人々が宇宙への無限の可能性にときめいたはず。
宇宙への憧れは膨れ上がり様々なシーンに影響を与えました。
デザイナーやアーティストに想像力を与えた宇宙。
家具デザインもまたその一つでした。
本日紹介させて頂くのは人類が宇宙に触れた時代に生み出されたプロダクトです。
60's 未知への憧れ
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今回ご紹介させて頂くのは1960年代、オランダの「アーティフォート / Artifort」より発表され、国内ライセンス品としてホウトク社が生産したラウンジチェア“F976”。
一見してスペースエイジを感じさせるフォルムを持つ、60年代にデザインされた一脚です。
1890年にオランダに創立されたアーティフォート。
オリジナリティあふれるデザインと創業以来受け継がれる熟練の職人技術で知られるヨーロッパ屈指のモダンファニチャーメーカーです。
「芸術(Art)」と「快適さ(Comfort)」が掛け合わされた名の通り、美しく高品質な家具を生み出し続けています。
日本ではホウトクが古くから技術提携しており、今回入荷したラウンジチェアは1970~80年代にホウトクが製造したものと見られます。
デザインを手掛けたのはイギリス出身のデザイナー、ジェフリー・ハーコート。
オフィスや空港、公共施設へのコントラクト家具のコレクションを発表し1978年に「ロイヤルデザイナー・フォー・インダストリー」の称号を授与されています。
1968年に公開されたSF映画「2001年宇宙の旅」に登場する月面のクラビウス基地会議室の椅子デザインを手掛けたのもジェフリー・ハーコートだそう。
キューブリック監督も彼のデザインに惹かれたのでしょうか。
シンプルながら魅力的な未知の何かを感じずにはいられません。
オランダミッドセンチュリーを思わせる、無駄のない洗練されたデザインと遊び心のある有機的なフォルム。
広くとられた座面と低めの座高が生み出すゆったりとした座り心地。
脚は流れるように繋がる一本脚。
全てのバランスが美しく、ジェフリー・ハーコートデザインの魅力がふんだんに詰めこまれています。
このラウンジチェアの最大の魅力は360度どこからみても美しいフォルムを持っている点。
サイド、後ろ姿共に素晴らしく余計な引っ掛かりは全て排除されています。
低めの設計の為か圧迫感も感じず、意外とすっきりとした印象。
ブルーのファブリックが採用されているので空間にもすんなりと馴染んでくれそうです。
発表当時、このチェアは人々の目にどう映ったのでしょうか。
新しく未知の世界への憧れを目の前に感じたのかもしれません。
発表されてから約半世紀、それでもどこか感じる新しさこそ、スペースエイジや時代が生んだ家具デザインの魅力だと思うのです。
ゆっくりと寛ぎたい一脚のご紹介でした。
HOUTOKU / Artifort F976 Lounge chair A
HOUTOKU / Artifort F976 Lounge chair B