Fritz Hansen
Seven Chair
「シンプルイズザベスト」という言葉がありますが、その通りなのかもしれないと思う瞬間が個人的にここ最近増えてきました。
今までは個性的なものや装飾が多いもの、色鮮やかなものに惹かれることが多かったのですが、それ故何か選ぶ時悩んで時間がかかることが多く、こうなるとシンプルなものが迷うことなく決めることが出来て良いのかも、と思うように。
勿論人それぞれ好みがあり、こうでなければならないということは無いですが、インテリアのコーディネートを考える時もシンプルでどんな場所にも設置できるアイテムだとコーディネートの幅も増えるような気がします。
シンプルな形に詰められた拘り
今回ご紹介させていただくのは、近代建築の巨匠の一人“アルネ・ヤコブセン Arne Jacobsen”の代表作である『セブンチェア SEVEN CHAIR』。
建築家でありデザイナーとして知られるアルネ・ヤコブセン。
ジャンルを問わず、多岐に渡る活躍をした人物で、建築ではデンマーク国際銀行やオーフス市市長舎、家具ではセブンチェアやスワンチェアなど、建築や暮らしに関わるあらゆるものをデザインしています。
1960年に完成した”SAS ロイヤルホテル”はヤコブセンの総合的な才能が発揮された好例で、設計のみならずインテリアデザインから家具、カトラリー、ドアノブに至るまで、あらゆるものを手掛けました。
セブンチェアが発表されたのは1955年。アントチェアの後継モデルとして誕生し、製造番号であった「SERIES SEVEN」からその名がついたそうですが、数字の「7」に似ているから等、その由来については諸説あるそう。
アントチェアは世界初の背座一体となる成形合板の椅子でしたが、まだ改良の余地が残されており、そこでフォルムはよりシンプルで流動的に、サイズは一回り大きくすることで、造形も機能も完成されたのがこの1脚でした。
ユニークなフォルムとスタッキング機能等、デザイン性と実用性の融合は素晴らしく、現在までに700万台以上の累計販売数を誇り、世界一売れているスタッキングチェアとして多くの人に愛されています。
9層の成形合板から成るシートはもたれかかると適度なしなりが感じられる、柔らかな座り心地。
背座面の立体的な曲線は体のラインにフィットするようにデザインされており、体を包み込んでくれるような感覚を味わえます。
また、重量はわずか4kgで移動も簡単。最大12脚までスタッキング可能なので不要な時には省スペースでご使用いただくことが出来ます。
今回入荷したのは、深みのある色味や美しい杢目が特徴的なナチュラルチェリーのセブンチェア。
優しく高級感のある佇まいで、北欧モダンに限らず様々なお部屋のテイストに馴染み、この先、数十年とかけて経年による色合いの変化もお楽しみ頂ける一脚です。
デザインとしても空間によく映え、更に見る者座る者の心を魅了する美しいチェア。
左右対象や連続を得意とし、完璧主義でも知られるアルネ・ヤコブセンの拘りや哲学が、このシンプルな一脚に詰まっているといっても過言ではありません。
近代建築の巨匠が手掛けた、20世紀の北欧を代表する名作セブンチェアのご紹介でした。