FLOS
Frisbi
空間を決定付ける存在。照明。
どれだけ家具やインテリアに拘っても、最終的にはその空間を照らす灯、照明に委ねるしかありません。
太陽の光の無い時間、人工的な光をいかに操るか。
そしてそれにいかに美しいデザインで完成させるか。
全ての課題をクリアし美しい照明を数多く手掛けた名デザイナー。
本日紹介させて頂くのはアッキーレ・カスティリオーニが生み出した名作照明です。
追い求めた光
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光の質を追求するのなら、照明自体の発行面積を広げることになる。
しかし望むのは照明。インテリアである照明をむやみに肥大化させることはできません。
デザイン的で高質な光を放つ照明。
相反する要求は最早実現不可能とも言えます。
いたってシンプルな構造を持ったフリスビーはその名の通り、吊り下げられた大きな円盤が印象的な照明です。
直径60㎝の乳白色の円盤。
それを照らすように配置されたスポットライト。
一風変わったデザインがなされたフリスビーは点灯時驚くべき力を発揮します。
スポットライトから発された光は円盤に反射。
そして天井面を広く照らします。
円盤はスポットライトの光を程よく透過。
この時小さなスポットライトの光は乳白色のシェードにより拡散され大きな発光面へと変わります。
この構造が最小限の体積で直径60cmという大きな発光面を上下両面に向かって機能させているのです。
見た目からは想像できない空間全体を包み込むような優しい灯。
驚くべき点はこの機能を美をもって完成させたところにもあります。
スポットライトを覆う小さなシェード。
鏡面仕上げのシェードは空間を映してインテリアに溶け込みます。
これが存在感がありながらも邪魔にならない点。
良質な光を作る上で発生する不快な光を遮りながら、デザインの一部としてしっかりと役割を果たす。
さりげない気配りとセンスが円盤の存在感とマッチしています。
内部はホワイトの塗装で仕上げられている為、光の拡散をアシスト。
明るく綺麗な光を実現しています。
特筆すべき点は電球のソケットにもあります。
普段注目しないソケットですがフリスビーにはパンチングメッシュのスチールが採用されています。
照明デザインにおいての課題。電球の熱。
LED電球の開発、普及によりクリアした点ですが、当時は自由なデザインをする上で電球の発する熱は大きな壁だったはず。
放熱するためにメッシュを採用し、それをデザインとして昇華させる。
アッキーレ・カスティリオーニは殆どの照明に放熱をセンス良く取り入れています。
彼のデザインの真骨頂ともいえる点です。
1978年にデザインされたフリスビー。
40年の歳月を経た現在でも全く色褪せることの無い名作照明として広く知られています。
デザイナーの個性を主張するのではなく、使う人、生活者の視点で物づくりを続けたカスティリオーニ。
一見デザイン的なフォルムをもつ彼の照明。
点灯時に気付かされるのは、彼は灯をも操っていたという事です。