Fritz Hansen
SEVEN CHAIR
背、脚、座面というシンプルな構造を持ちながらも、最も複雑とされる家具、椅子。
今までも、そして現在も多くのデザイナーが椅子のデザインを手掛けています。
使うための道具である事に重きを置いたものや美しいフォルムを持つデザイン的なもの。
シンプルながら複雑であると先述した様に椅子デザインには無限の可能性があります。
あるデザイナーは椅子を自身の完璧主義を持って完成させました。
最も完璧に近い椅子をご紹介させていただきます。
完璧な造形
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本日ご紹介させて頂くのは歴史的名作として名高いチェア、“フリッツハンセン / Fritz Hansen”より3107チェア。
通称「セブンチェア」です。
デザインを手掛けたのは20世紀でもっとも影響力の大きい建築家でありデザイナーとして知られるアルネ・ヤコブセン。
このチェアは世界初となる成型合板による背座一体の名作、アントチェアの発表後に生みだされた名プロダクトです。
アントチェアの確立されたスタイルから派生したセブンチェア。
同様に背と座が一体となった成型合板のシェルが印象的な背座一体のシェルを持つチェアです。
開発のきっかけは顧客の要望だったそう。
4本脚、アームレスト付き、ファブリック張り仕様、回転式等様々な声を聞いたヤコブセンはアントチェア開発から3年後の1955年、アントチェアの不足している部分を補う後継モデルを発表。
それがセブンチェアでした。
左右に大きく広がった背もたれ。
セブンチェアのデザインのバランスを大きく司る部分です。
アントチェアと比較して大きく変更されたポイントでもあるこの背もたれは包み込む様なホールド感を実現。
木製のシェルとは思えない柔軟さと圧倒的な座り心地は瞬く間に知れ渡り椅子のアイコン的存在としてその地位を築き上げました。
発表から70年以上たった今も尚、様々なシーンで見かけることが出来るセブンチェア。
製造番号であった「SERIES SEVEN」から名づけられたと言われていますが、前から見たシェルの形状が数字の「7」に似ているから、7枚の合板を2枚の仕上げ板で挟んでいるから等その由来は諸説あるそう。
蟻の形状に似ているからアントチェアといったように親しみやすいネーミングで呼称されているのもセブンチェアが生活の為の素晴らしい道具として愛され続けている所以です。
今回入荷したのは80年代に生産されたビンテージアイテム。
比較的良コンディションに見えるシェルは専門業者にてリペイントしていただいたものです。
これまでに見覚えのない絶妙なカラーリングはなんとインプションセレクトによるオリジナルカラー。
自由が丘店に入荷したのは爽やかな印象の水色がかった薄い藍色と落ち着いた印象の灰味がかった薄い青紫色の2脚です。
パステルとはまた違った深みのある淡い色合いは日本に古から伝わる色“伝統色”に近いお色。
これまでに様々なカラーのセブンチェアがリリースされてきましたがこの心地良いお色は風土や環境に良く馴染んでくれるかもしれません。
ビンテージアイテムや和家具との相性も良さそうです。
フリッツ・ハンセン社史上最高の販売脚数を記録したセブンチェア。
バリエーションも最も多く展開していることで知られています。
こちらはキャスターベース仕様。
5つのキャスターによる安定感は勿論、昇降機能による使い心地は素晴らしく様々なシーンで本領を発揮してくれます。
通常の華奢なクロームレッグによる繊細なフォルムも魅力的ですがこの絶妙なバランスも堪らなく素敵です。
左右対象や連続を得意とし、完璧主義でも知られるアルネ・ヤコブセン。
デザイン性は勿論、必要なのは使い心地です。
問題はそれらが如何に共存するか。
明快に見えて困難な椅子デザインの課題の答えはアルネ・ヤコブセンが知っていたといっても過言ではありません。
最も完璧に近い椅子、セブンチェア。
歴史的名作に、優しいお色をのせた特別な2脚のご紹介でした。
Fritz Hansen SEVEN CHAIR
Fritz Hansen SEVEN CHAIR