France & Son
No.209 Diplomat Chair
外交官というと、個人的にはなんだか縁遠い仕事のひとつ。子どもの頃に外交官なんて職業を意識したこともありませんでした。
でも実はなりたい職業ランキングで1位に輝いたこともあるなど、今でも人気の職業だそう。ちょっぴり意外です。
世界各国に赴き、通訳をしたり政治や経済の動向を把握し交渉したり、国益を守るための重要な役割を担う職務。
そんな大変な仕事を陰ながらどっしりと支える、縁の下の力持ちがいました。
世界中の誰もがきっと
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お堅い印象ももちろんあるのですが、時には文化交流などの広報を担当したりと同時に華やかなイメージもある外交官の世界。
彼らが公務を行う大使館は役所であるとともに国を代表する顔としてさまざまな客人を迎える大切な場所です。だからこそ、空間も重要な要素のひとつなのでしょう。
デザイン大国であるデンマークの大使館に取り入れられているのは、ヤコブセンやウェグナーの家具にヘニングセンの照明といった錚々たる巨匠デザイナーのインテリアたち。
そんな別格ともいえる豪華なラインナップの中には、大使館のために作られた家具もあるのだから驚きです。1963年にFinn Juhl(フィン・ユール)がデザインした通称・「ディプロマットチェア | Diplomat Chair」、外交官のための椅子です。
デスク仕事をする、食事をする、交渉や談笑をする。きっとあらゆるシーンで使える椅子として作られた「No.209」。世界中の誰が座ってもゆったりとした掛け心地を味わえるゆとりのあるサイズに設計されています。
また、座面高がダイニングチェアに近い44.5cmであるのは、テーブルやデスクに合わせやすくするためかもしれません。
さらに、あえて背板をなくしたフレームのみの構造によりもたれかかると程よいしなりが感じられる背もたれに、裏側に溝があることでフィット感のある掴み心地を実現するアーム。
真鍮のスペーサーに支えられた座面はまるで宙に浮いているかのような浮遊感を生み出し、さりげない彫り模様が施された木製パーツが控えめなアクセントを添えています。
フィン・ユールならではの彫刻的感覚が遺憾なく発揮された見事な造形美。美しさを心地よさに繋げる圧巻のデザインです。
そして、この意匠が散りばめられたチェアの製造を担ったFrance & Son(フランス&サン)社の技術もまた見事だと思います。
もともと本国では批判されることも多かったというフィン・ユールのデザイン。アメリカで注目されたことをきっかけに、世界的な評価を得ることとなります。
自身のデザインで世界を認めさせた氏の椅子が、国の顔のひとつとして大使館に迎え入れられたのは、なんだか必然のような気がしてきました。
外交官の言葉だけでなく、インテリアで伝えるデンマークの素晴らしさ。ぜひ、その威厳やおもてなしの心をディプロマットチェアの上でご堪能ください。