Pierre Jeanneret
Small Box Chair
「チャンディーガル都市計画」。
このキーワードを聴いて、ピンときた人は歴史や建築物に詳しい方だったり、アートや家具に詳しい方だっりするのかもしれません。
1947年、イギリス領からインド・パキスタンの独立分離の際に、国境付近に新たな都市を作るために発案された「チャンディーガル都市計画」。
都市規模でデザインされた公共施設や大学、美術館、さらには各施設で使用されていた家具なども含め、近年になって再評価されたチャンディーガルは、2016年にユネスコ世界遺産に登録されています。
「チャンディーガル都市計画」成功の代表的な立役者は二人。ひとりはモダニズム建築の巨匠と呼ばれる「ル・コルビュジエ」。もうひとりはコルビュジエの従兄弟にあたる建築家の「ピエール・ジャンヌレ」です。
都市の総合デザインを任されたル・コルビュジェ。そしてコルビュジェは最も信頼のおける、従兄弟のピエール・ジャンヌレに公共施設で使用する家具のデザインを依頼するのです。
素朴な美しさ。
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チャンディーガル都市計画の為にデザインされたジャンヌレの家具たちは、あくまで公共施設の為に作られたモノであり、一般販売などは行われていません。
近年になってリプロダクト品や復刻品などが販売されるようになりましたが、チャンディーガルという限られた都市の公共施設のみで使われていたオリジナルの家具はもともとの製造数が少ないのです。
さらに当時はただの公共施設の家具でしかなかったジャンヌレの家具は、あまり大切に扱われてきませんでした。
状態の悪くなったりしたものは廃棄され、ときには火にくべる薪にもされたそうです。
今となっては「なんて勿体ないことを!」と思うかもしれませんが、当時のチャンディーガルの都市の住民たちにとって公共施設の家具が特別な存在であるはずもなく、ふつうの家具として扱われてきました。
もしかしたらそれが本来の公共施設の家具の扱われ方なのかもしれませんね。当時から約70年の歳月が経った現在ではさらにその現存数も少なくなっています。状態が良いものは尚更です。
ニューヨークのササビーズオークションで高値で取引されている事を知ったチャンディガールの住民たちは、今ではジャンヌレの家具の保護を行っているそうです。
さて、お待たせしました。チャンディーガルの歴史はこのくらいにして、本題のチェアのご紹介といきましょう!
今回入荷したのは『チャンディーガル都市計画』の一環である、パンジャブ大学の生徒用の椅子としてデザインされ実際に大学で使用されていた「スモール ボックスチェア Small Box Chair」となります。
リプロダクトや復刻品ではなく、希少なオリジナルビンテージですよ!!
フレームにはチーク無垢材、座面はラタン編みのシートとなっており、涼し気なラタン編みの座面とチーク無垢材フレームがよくマッチしています。
「スモール ボックスチェア Small Box Chair」という名前の通り、全体的にボックス型の四角いフォルムが特徴的ですね。
各所に在庫管理用のアルファベットや数字のレタリングが入っているのもポイントです。
大学で管理しやすいように施されたレタリングは当時実際に使われていたことを示す証であり、そのレタリングがオリジナル品としてのリアリティを高めてくれます。
当時の雰囲気がそのまま感じられる何とも趣きのある佇まいが良く。経年により深く色付いた粗い木肌や落書きの跡も長い年月の歩みを感じさせてくれます。
長い、ブログ少し長いですね。
そろそろ読み飛ばして貰ってもかまいません。そでれもまだ書きますよ! まだ読む気力もある人だけでもお付き合いください。
チャンディーガルの家具造りでジャンヌレが目指したのは、チャンディーガルの建築と家具が共鳴することだったそうです。
それは機能的な家具であることだったり、現地で入手できる素材を使うことだったり、職人の技を活かせる家具を作ることだそうです。
チーク無垢材のフレーム堅牢であり、尚且つフレーム金属が一切使用されていません。接合箇所は手間のかかる嵌め合いといわれる技法を用いています。これも職人の技が光るボックスチェアの醍醐味のひとつとなっています。
そしてラタン編みの座面シート。
チーク材と同様に現地でも入手しやすい素材であり、インドの暑い気候を考慮してか、はたまたラタンシートの気持ちの良いクッション性を考慮してかは分かりませんが、何とも美しい仕上がりです。
チャンディーガルの家具たちは同じモデルであっても微妙にサイズが違ったりと個体差があります。
一般向けに販売される既製品の家具であれば許されることのない事ではありますが、決して手を抜いたという事では無く、それぞれの職人の手間の掛かる丁寧な仕事振りが伺えるのです。
それもまたジャンヌレのデザインしたチャンディガールの家具の魅力であり、それぞれの個体の「味」だと思います。
どこか人間味を感じるようなボックスチェアの素朴な美しさは、プリミディブアートのような力強くも温かみを感じる独自の魅力を漂わせています。
そこにあると、フワっと気持ちが柔らかくなるような優しい風合いのチェアとなっています。
近年ではジャンヌレの作品は再評価され高値で取引されるようになりましたが、インド政府によって国の文化財として保護され輸出は制限されております。
世界のセレブリティやコレクター達の心を虜にしている名プロダクト。今後入荷の見込めない希少なお品物でございますので、是非この機会にご検討下さいませ。