Vintage
Table
意図を汲むことは無くともネームバリューは求める。
SNSはデザインやプロダクトに求める理由を大きく変えたように思います。
“もの”より“こと”に変わりつつある消費。
生活をよりよくする為ではなく、より良い生活を見せる。
物自体に求める消費は減り、行為に重きが置かれている現状。
大切なものは失いたくないものです。
だからこそ無名にはまだ汚されていない部分があると思うのです。
匿名の名作
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今回紹介させて頂くテーブルはデザイナーや国等の詳細の殆どが不明。
まさに無名の逸品といえます。
生涯、匿名性を求めるアノニマスデザインを追求し続けた名デザイナーがいるように、正体を明かさないデザインは時に力強い説得力を見せることになります。
構造はシンプル。
木製のベースに石材の天板を乗せた仕様。
異素材で構築されたテーブルはよく見かけますがこのテーブルにはやりつくされた平凡や退屈を感じません。
互いが協調しながら強調する。
この圧倒的なデザインバランスがなされたプロダクトは滅多に見られません。
フレームは複雑な構造ながら繊細な印象。
複数のパーツで構成されていますが過度な渋滞はありません。
どの角度から見てもストレスの無いフォルムに美しさを覚えます。
木材を用いることで生まれる深い風合いと特有の温度も強い魅力です。
それらと相反する重厚で荒々しい印象の天板はカット痕を残した石材。
ひんやりと冷たく、力強さをも感じさせます。
設計さえた厚みも程よくこのパーツひとつを取っても十分な魅力を感じることが出来ます。
異なる素材感と存在感。
見事に調和し圧倒的なバランスとフォルムの美しさを見せます。
すっきりと抜ける印象と重厚な風格。
通常交わることの無い感覚は正確に交差し、このテーブルを圧倒的かつ素晴らしいものに仕上げています。
空間に纏めた時に放たれる風格は静と動を見事に体現したオブジェの様。
意外にも様々なスタイルとも纏り説得力を与えます。
プロダクトの魅力はデザイナーが誰であるかではなく、プロダクト自身に宿るもの。
当たり前のことですが、失われつつある点でもあります。
デザイナーやメーカーは不明だからこそ評価できる名ビンテージ。
久しぶりに出会った、ハッとさせる明快な名作です。