BIEFFEPLAST PADOVA
BOBY WAGON

私事ながら、最近ビートルズに魅了され少しずつ勉強を始めております。

ビートルズのリーダーだったジョン・レノンは1940年に生まれ、1980年に40歳という若さでその生涯を閉じました。今も生きていたなら、どんな姿を見せてくれただろうと、つい想像を巡らせてしまいます。

また同じころ、世界はインテリア業界でも天才を失ってしまいます。

偉才が生み出した万能ワゴン

ミッドセンチュリーを代表するイタリア出身の天才デザイナー、Joe Colombo（ジョエ・コロンボ）。1971年に41歳の若さで亡くなりました。誕生日と死亡日が共に７月30日であったり、その生涯は天才としての軌跡そのものでした。

デザイン事務所を設立した1962年から本格的に活動を始め、僅か10年ほどの間に生み出された数々の名作。亡くなる前年である1970年には氏を代表する画期的な作品を創り上げました。

それは、ニューヨーク近代美術館の永久コレクションに収蔵される名作、ボビーワゴン。その機能性と可愛らしいデザインは50年が経った今も世界中で愛されています。

美術大学に通い、元々はアートをやっていたコロンボ。有機的なデザインにはどこか穴をあけるといいます。軽量化させる意味でもそうですが見た目の美しさのためです。

実際にこのボビーワゴンも分かりやすく穴があいています。というより、この作品は何かを取り付けるのではなく1つの箱を彫って形成した彫刻的な美しさをもつプロダクトだと思います。

また、このワゴンは元々製図現場で使えるように設計されているため、4面全ての面が使える機能性にも優れたアイテムです。

物のサイズに合わせた収納が可能であり、面の形もそれぞれ特徴がありバラバラなので、どこに何をしまったか迷う事もありません。

上から見て一番細い面（上の画像参照）はトレーを取り外すことで巻物などの長い物も収納することが出来ます。

さらに、ドリンクやおやつを天面に置けるので、作業中のひと息にぴったり。デスクを広く使え、飲み物をこぼしても大切な書類や機器が汚れる心配が減ります。

現在はビーライン社にて生産されているボビーワゴン。ですが、今回はBieffeplast（ビエッフェプラスト）社製の初期型です。

1999年に製造・販売権がB-LINE社に移っているため、それ以前に製造されたものであり、少なくとも25年以上が経過していることになりますね。

ご覧の通り、かなり使い込まれた風合いがありますが、それもまたヴィンテージならではの魅力の1部となっています。

プラスチック素材ゆえに、あまりにも整いすぎているとかえって空間に馴染みにくいことがありますが、そういった空間には程良く馴染んでくれるアイテムです。

今年で存命なら95歳になるジョエ・コロンボ。わずか10数年の活動期間に300を超えるデザインや建築プロジェクトを手掛けたという事実には驚かされます。もし彼がもっと長く生きていたら、どれほどの名作が世に送り出されていたのか…想像せずにはいられません。

そんな同氏が生み出した形状美と機能美を兼ね揃える逸品。今回はビンテージの風合いをお楽しみいただける1台です。