VARO,S.A. VALENTI
Caquetoire Chair
家具には、それぞれの時代や文化、そして用途に応じたデザインがあります。
椅子ひとつをとっても、その形や機能は多種多様。
歴史を遡ると、特定の職業や身分に合わせて作られたものも多く存在します。
今回ご紹介するのは、16世紀のヨーロッパで貴族のために生み出された、独特なフォルムを持つチェアです。
用途と美が交わる一脚

スペインの高級家具ブランド"バロッサバレンティ VARO,S.A. VALENTI"。
1798年、アグスティン・バレンティ・コロム氏により、バルセロナで銀製品を扱う工房として創業しました。
創業当初は16世紀から18世紀のヨーロッパ様式を再現する家具作りを行い、その中で卓越した技術と知識を蓄積。
やがて、気品と優雅さを兼ね備えた「バレンティスタイル」と呼ばれる独自のデザインを確立しました。
現在では、家具にとどまらず、照明や陶器などのインテリアアクセサリーも手掛けるなど、幅広い製品展開を行っています。


今回ご紹介するのは、「カクトワールチェア」と呼ばれる一脚。
特徴は、台形のユニークな座面デザイン。16世紀のルネサンス期、ヨーロッパの貴族女性たちが愛用し、別名「貴婦人のおしゃべりイス」とも称されました。
女性がドレスを着用した際に、スカートの美しいシルエットを保ちながら座れるよう工夫されたデザインが施されています。


このチェアの魅力は、細部にまでこだわり抜かれた職人技です。
上質な本革を使用した張り地には、一つひとつ丁寧に鋲打ちが施され、気品あふれる仕上がり。
銀細工工房としての長い歴史を持つバレンティ社だからこそ生み出せる、精緻な装飾と洗練されたデザインが際立ちます。
重厚感と華やかさを併せ持ち、空間に格調高いアクセントを加える一品です。


さらに、モールディングの効いた優美なフレームも見逃せません。
深みのあるウォールナット材が醸し出す高級感と、伝統的な脚部の装飾が絶妙な調和。
重厚さの中に繊細な美しさが宿り、現代の家具にはない独特の風格を感じさせます。

特定の職業や身分に合わせて誕生した家具。
その用途が変わろうとも、細部まで計算された造形美と機能性が融合したデザインは、現代においても輝きを失うことはありません。
歴史と文化が息づく一脚のご紹介でした。































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