Herman Miller
Vintage Side Shell Chair
いよいよ、冬の寒さも本番を迎えようとしている感覚。吹きすさぶ風が冷たく、乾燥した空気は肌を切り裂く。寒気が関東平野を守る山脈を越えた時には、雪も降る。
少しずつ、その向こうに見える春を待つ気分が備わってきました。体調を崩す事無く健やかに過ごしてゆきたいですね。
今回のご紹介は、そんな今の季節を代弁するかのような1脚。是非ご覧になっていってくださいませ。
冬から春へ向けて


今回のご紹介はハーマンミラーによる1脚。思慮深く、けれどもとても活動的であったレイとチャールズの二人。
イームズという彼らの名前によるデザインは、彼らがこの世を去ったあとでも多くの人が憧れ、追いかける存在であり続けています。

デザインを手掛けたアイテムの中でも、特に人気が高いのが今回の「シェルチェア」。
1948年、MoMAが開催したローコストな家具のための国際的なコンペティションで発表されたこの椅子は、背面と座面が一つながりになったこれからの未来を想起させるようなフォルムデザインでした。


それまでの素材や技術であれば、通常は背もたれと座面の境目が掛かる負荷に耐える事が出来ません。その問題を解決するために用いられたのは、軍用物資として使用されていたFRP(繊維強化プラスティック)。
プラスティックにガラス繊維を封入して作られたこのシートは、その強度と巧みな構造によって世の中に生まれる事が可能になったのです。

アーム付きのシェルチェアの発表のち、今回のようなアーム無しのサイドチェアが1950年に発表されています。「サイド」の「シェルチェア」なので、「サイドシェルチェア」と一般的に呼称されています。
作り続けられるうちに、シェルの色味や取り換えられる脚部の仕様は増えそのバリエーションは数えきれません。今回の椅子は一体どんな組み合わせでしょうか。

まずはシート。ビンテージは大まかに3つの時期に分けられますが、その真ん中つまり「セカンド」のタイプ。最初にシェルを手掛けたゼニス(ジーニス)プラスティックからハーマンミラーへと製造が移り、豊富なカラーが生まれた時期のもの。
わずかに黄味のあるオフホワイトはまろやかな雰囲気です。


このシェルチェアにはクッションが取り付けられています。ファブリックを纏ったアプホルスター(布張り)タイプは、包み込むシートの形と合わさり優しく身体を包んでくれます。
座面の縁はモールと呼ばれるパーツで覆われていますが、そのブラックとファブリックの淡いブルー、シェルのオフホワイトと、レトロ感溢れる色の組み合わせです。


そして、脚部はスタッキングベース。両端についている金具を横並びの椅子で組み合わせれば綺麗に整列する事ができ、公共施設やセレモニー会場で重宝される仕様。
もちろんスタッキング(積み重ね)も可能。垂直方向に積み重なるのでスタッキング時でもとても安定感があります。

個人的にはこの横から眺めた際に見える、三角形のような脚のフォルムがたまりません。

シェルにファブリック、ベースに年代と長年作られた名作ゆえに同じ組み合わせに出会う事はそれほど多くありません。今回はとても淡い色彩のファブリック、オフホワイトのシェル、ジンク素材のさらさらとしたベースに白いナイロングライズと堅牢さとは裏腹に柔らかな印象の1脚です。
色を無くした冬のようにも、使い込まれて味わいの出たトタンのようにも、降りしきる雪を背に、春を待つ色合いにも感じられるこの組み合わせ。きっと好きな人も多いはず。
是非この機会にお迎え頂きたい1脚のご紹介でした。











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