Herman Miller
Aeron Side Chair
個人的に、在宅用のオフィスチェアはキャスター付、すなわち"動く椅子"を断然オススメしています。
それは「ダイニングチェアとの違いを体感で理解できる」から、その精神的なスイッチとしてキャスターの有無の差は有効です。在宅ワークにおいて生活と仕事の精神的な切り離しは結構大事で、そこが上手くいかないといつまでたっても仕事に取り掛かれなかったり、逆にいつまでも仕事を続けられてしまったりと生産性が落ちてしまう一因にもなり得ます。
以前仕事でオフィスファシリティに関わっていため、オフィスチェア・働き方には一家言あると自負していましたがこの椅子を見たときは思わず絶句してしまいました。
なにこれ
>>この商品の詳細を確認する
家具に詳しくない人でも一度は名前を聞いたことがあるであろうオフィスチェア界の雄「アーロンチェア」
90年代にハーマンミラー社から発表され販売当初からヒット、2017年には現代のニーズに合わせてアップデートされた「アーロンチェア リマスタード」を販売。累計販売台数は750万台を超え、COVID-19等で働き方が大きく変わった現在もその存在感は変わりません。
そんなアーロンチェアに派生モデルが存在していたとは入荷当時まで知らず、己の勉強不足を痛感しました。
アーロンチェアを知っているからこその違和感とでも言いましょうか。変態度……もといマニアックさは高い部類かと思われます。
用途はその名の通りサイドチェアとして、そしてカンファレンスやミーティングなど大勢が集まる場所での使用が想定されていたそうです。現行では「アーロンリマスタード ライト」や同社の「セトゥーチェア」がそのポジションに近いでしょう。
本家アーロンチェア同様90年代頃から販売されていたようですがアーロンリマスタードの登場に伴い2017年頃に廃番。しかしながら国内での知名度は皆無。
本家アーロンチェアにあった動く機構は全てオミット。その背座とペリクルサスペンションだけを残し、カンティレバーフレームとなりスッキリとした印象に。
フレームはアームレストも兼ねています。背座が持つもともとのジョイントに合わさるよう設計されておりスマートな納まり、それ故か背座フレームの存在感をよりいっそう強く感じさせます。
座り心地はもちろん本家譲りの快適さ、カンティレバーによって本家のチルト機能とはまた違った浮遊感のある着座感です。機能に気をとらわれない分、ただただ座ることの心地よさをより感じ取ることができます。
とはいえ見れば見るほど……面妖な趣を感じます。
かっこいいダイニングチェアにキャスターを付ける(イームズタスクサイドシェル等)ならまだしも、便利座り心地の良いオフィスチェアを安く沢山使いたい、に対するアンサーがカンティレバーなのは痺れます。
オフィスチェアは体格との相性がその機能性以上に重要であるため、やはり実際に店頭なりで座って選んで頂くのが一番です。そしてきちんと深く腰掛けること、浅い座り方は腰への負荷が高く、せっかくのオフィスチェアの威力を発揮できません。
こちらはハーマンミラー社のサイズ表記Bのものとなり、身長160~185cm程度の方にマッチしやすいサイズとなります。
アーロンチェアに座ってみたいけどいきなり買うのは高すぎる、在宅ワークの椅子にゴテゴテした機能はいらないけど座り心地の良い椅子が欲しい、といったニーズにピッタリです。
在宅ワークにはキャスター付きがオススメ、などと前述しましたがその快適な座り心地の前では一度考え直す必要があるかもしれません。
初めての仕事用チェアが欲しい方から、リビング・ダイニングでもアーロンチェアに座っていたい上級者まで幅広く(?)お勧めできる一脚です。