Herman Miller
Aluminum Group Management Chair
オフィス家具の大定番となり、街中やテレビでもよく見かける”アルミナムグループチェア”。
今回はファブリックがアレキサンダージラルドによるデザインの珍しい一脚のご紹介です。
有機的なアルミナムグループチェア
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このチェアが誕生したきっかけはモダニズム建築の宝庫とも呼ばれるインディアナ州コロンバスにあります。
この地に私邸の建設を予定していたカミンズエンジン社の創業者J.アーウィン・ミラー氏は建築をエーロ・サーリネンに、内装をアレキサンダー・ジラードに依頼していました。
しかし、彼らは建設途中で、邸宅に合うアウトドア用の椅子がない事に気が付きました。
そこで、2人はチャールズ&レイ・イームズ夫妻にデザインを依頼。夫妻はすぐに開発に取り掛かります。

プライウッドやFRPに代表されるように家具に応用できる素材を探していた彼らは当時、第二次世界大戦の影響で注目されていたアルミニウムによる椅子の製作に着手します。
そして僅か一年足らずで完成させたのが、アルミナムグループチェアの前身となるモデル”indoor / Outdoor Group”。
脚部の本数、シートの素材、アーム等細かな変更はありますが、シートの独特な角度や座面と脚部の繋ぎ目の黒いフレーム(交差ブレース)のデザインなど、現在のアルミナムグループチェアと比べても特徴的なデザインは殆ど変わっていません。
この時から高い完成度を誇っていたのですね。

しかし、このモデルはすぐに製造中止となってしまいます。この時シートに使用されていた変更前のプラスチック製ファブリックは耐久性が低く、屋外での使用に耐えられなかったのです。
そこで1960年には肘掛けの付いた屋内用のモデルが発売されます。その後、バリエーションが増えるなどして名称が、”アルミナムグループチェア”に。

シートに使用されているファブリック”ホップサック”はこの椅子の開発を依頼したアレキサンダージラルドによるもの。
しっかりとした手触りがあり、発色の良いレッドカラーは元気が貰えそうです。
この椅子を始めて見た時、アルミニウムという無機質な素材を用いながら、とても有機的に見えました。
ファブリックの生き生きしたカラーもそうですが、交差ブレースのデザインがイームズ夫妻が名付けていたように、「鹿の枝角」に見えるからでしょう。
また、脚部の先端がふっくらと膨らんでいるデザインも鹿の蹄の様にも見えます。

機能はとてもシンプルで、昇降機能とリクライニングチルト調節、水平回転になります。
リクライニングの調整はグリップを捻るだけ、シンプルな機能ゆえ頑丈にできており、昇降機能も油圧式ではなく、アナログなネジ式なのでメンテナンスも必要ありません。

明るいファブリックによって座るだけで、仕事、勉強、読書などのやる気があふれてきそうです。オフィスユース過ぎない、”アルミナムグループチェア”、硬すぎない空間で、自分らしさを表すのにぴったり。
オフィスでもご自宅でも取り入れてみてはいかがでしょうか。
