ノル Knoll ビンテージ ダイヤモンドチェア Diamond Chair ラージ ハリー ベルトイア Harry Bertoia ブラック ミッドセンチュリー 名作 ~深い霧の小路~

UPDATE: STAFF:よしお
ノル Knoll ビンテージ ダイヤモンドチェア Diamond Chair ラージ ハリー ベルトイア Harry Bertoia ブラック ミッドセンチュリー 名作 ~深い霧の小路~

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Knoll
Diamond Chair

本日は、スチールロッドワイヤーを使用し、ひとつひとつ異なる網目の動きで背座の微妙な曲面を立体的に表現した、巨匠ハリー・ベルトイア1952年の名作" ノール / Knoll "『 ダイヤモンドチェア 』のご紹介♪

深い霧の小路

ミッドセンチュリーデザインというと、一般的な知名度としてはやはりイームズのチェアが有名かもしれませんが、その開発にあたりハリー・ベルトイアが大きく貢献していた事はあまり知られていません。ベルトイアはクランブルック美術学院で彫金のクラスを設け、ジュエリーデザインと金属加工について教えていましたが、1946年にカリフォルニアに移り住んだ後、クランブルックの卒業生仲間であるチャールズ・イームズと共に、積層合板や曲げ加工の開発を行いました。

イームズ夫妻の結婚指輪を制作する程仲が良かった両者ですが、当時、自然の木を強制的に曲げる行為には少なからず不満を持っていたよう。理念と美学の違いというやつです。イームズが手掛けた多くの家具は、その発表時、それらの開発に関わったベルトイアの名前は掲載されず、たまった不満が爆発したせいかイームズと決裂。共に開発をしていたエヴァンス社を去る事になります。

そしてイームズから離れた事を知って、すぐさま声を掛けたのがフローレンス・ノル氏。クランブルック美術学院時代よりベルトイアの才能に惚れ込み、絶大な信頼をおいていました。人との出会いは大切です。

彼の才能は、家具デザイン一辺倒ではなく、絵画、彫刻と多大なる才能に恵まれたアーティストでした。Knollの創設者ウォルター&フローレンス・ノル夫妻は、彼の才能に惚れ込み、時間と場所を与えれば驚くべき造形物を生み出す事を確信し、同社の製造工場の一角に自身の店舗を構えるように提案しました。天才の閃き待ちです。 " 家具をデザインすること " それは決して強制的なものではなく、彼の飽くなき探究心から「なにか面白いものにたどり着いた時に、ただ知らせてくれればいい。」というもの。良い職場ですね。

後1952年にそれは具現化し、ワイヤー家具のコレクションとして彼のマスターピースとなりました。後に彫刻や建築的なインスタレーション等も提供し、Knollの歴史には関わるものの、家具のコレクションとしては一つしかデザインしませんでした。

ダイアモンドチェアは、ベルトイアの名を歴史に残したターニングポイント。工業用部品を使用しながらも、曲線と直線の細いワイヤーにより美しく構成された立体的な造形美は、デザイナーとしては勿論、彫刻家としての才能を兼ね揃えた同氏ならでは。繊細さと高い耐久性が同居するフォルムには、背・座・脚部其々に隙間を設けている為、圧迫感を感じず、心地よい抜け感によるスッキリとした佇まいを演出してくれます。

それは「空気と鋼の彫刻」とも呼ばれ、彼自身も「これは空気で出来た椅子なんだ。だから全ての空間はこの椅子をすり抜けてしまう。」と語る程。溶接技術を駆使し、背座の膨らみをワイヤーの曲線のみで構成した空気を纏う彫刻作品からは、前述の「木を強制的に曲げたもの」への不満に対しての彼らしい答え合わせといえるかもしれません。

まあ、ワイヤーで出来たミッドセンチュリーを代表する傑作椅子は、特許侵害等でハーマンミラー社に訴えられたりとか、他にもダークな一面もあるのですが・・・。それはまた別のお話。

「木を強引に曲げるのは違うんじゃない?」「これは空気で出来てるんだよ」

芸術家の内に秘める空想。研ぎ澄まされた感覚で「これは違う」「これは合ってる」を瞬時に判断します。

芸術家が芸術品をつくる事。それは濃い霧の中を歩き、その道中の細い分かれ道を見逃さず、ゆっくりと進む長い小路。そしてたどり着いた先に" 形を得た空気 "があります。


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