Knoll
Diamond Chair
"Modern Always"という信条とデザイナーの哲学が見事に融合して生まれる美しさと心地よさ。
Knoll(ノル)のプロダクトが「使われる芸術品」と評される所以です。中でもこの椅子はその評価を体現する椅子、座れる彫刻。
まさか、昨日に引き続きノル社のアイテムをつづけてご紹介できるなんて思ってもみませんでした。
永遠のかがやきを
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座れる彫刻、「ダイヤモンドチェア | Diamond Chair」。
Harry Bertoia(ハリー・ベルトイア)が同社にて1952年に発表した、ミッドセンチュリーモダンを代表する名プロダクトです。
プライウッドでもFRPでもなく金属の一体成型でチェアを作りたい。そう考えていたのは金属彫刻家のベルトイア、ではなくイームズ夫妻でした。
しかしながら、当時の技術力ではその思いは叶わず、ワイヤー組みのバスケットやトルソーから着想を得てスチールワイヤーを採用します。
そうして誕生したのが、イームズのワイヤーメッシュチェア。実は、ダイヤモンドチェアが発表される1年前に生まれたこのデザインには、ベルトイアが大きく貢献しているそうです。
木を曲げるのは不自然だと考えていた氏は、共に活動していたイームズ夫妻のもとを去りノルへ。自由に創作活動をする一方で、同社で販売する家具の制作に取り掛かります。
ここでようやくダイヤモンドチェアが登場。ベルトイアコレクションの中のひとつとして発表されました。
「彫刻のようで、空気で出来ている。」とベルトイア自身が表現するように、スチールワイヤーがかろうじて見えるくらいに空気をはらみ、空間に溶け込みます。
格子から透けて見える向こう側の景色。座った人が宙に浮いているように見える透明性。剥き出しの美しさは、まさに家具を超えて芸術の域です。
ただ、座るとなると話は別。硬い網目に身体を預けるのは少しばかり耐え難いので、シートパッド付のほうがより実用的といえます。
どこか手の届かない美術品のような高貴な崇高さをまとう椅子の形をした現代アート。
でもやや赤みのあるブラウンで覆われた彫刻は、なんだかココナッツやアーモンドにも見えて急に親近感が湧いてきました。
使うために生まれたダイヤモンドは、座ってこそ永遠の輝きを放つはず。空気と鋼でできた宝石は、実用品なのです。