Knoll
Credenza 4 Position
ハンス・ノルによって1938年にニューヨークに設立されたファニチャーブランド“Knoll ノル“。
ビジネスパートナーであり妻でもあったフローレンス・ノルは、ハンスの没後、社長として会社を率いたそうですがエーロ・サーリネン、ハリー・ベルトイア等、名だたる名デザイナーと交友関係であった事から、様々なコラボレーションを果たし、世界的に有名な家具ブランドとして確固たる地位を確立しました。
ハリーベルトイアのサイドチェア、エーロサーリネンのチューリップ、マルセルブロイヤーのカンチレバーチェア。
家具好きなら一度は見聞きした事がある製品を販売する同社ですが、本日ご紹介するのはフローレンス・ノル、彼女自身がデザインを手掛けた家具です。
Less is more
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こちらの“Credenza 4 Position“はフローレンスノルが1961年にデザインした名作ストレージ。
現在knollで販売されているモノとは材や天板の仕様が異なりますが、直線的なボディと輝くスチールの脚部等、無駄のないシンプルな構成はそのままです。
現在、学芸大学店にあるこちらのセッティーソファを見てもお分かりの通り、この脚部の造りはフローレンスのデザインの多くの家具に見られます。
エリエル・サーリネンやアルヴァ・アアルトらから推薦を受け、マサチューセッツ州イリノイ工科大学に入学したフローレンスは、マルセル・ブロイヤー、ミース・ファン・デル・ローエ等、偉大な建築家の元で勉強を続けましたが、同氏のデザインに一貫するこの無駄の無さ、モダンな美しさは特にミース・ファン・デル・ローエの影響を強く受けていると云われています。
“Less is more.“(より少ないことは、より豊かなこと)はミースの言葉で、これまであった装飾で魅せる美しさとは逆の引き算の美学。
無駄な部分を排し、必要なものを絞り込むことで美しく豊かな空間が生まれるという、建築家としての信念を表した言葉です。
フローレンスのデザインの根底にはこうした、ミースのデザイン哲学があるのでしょう。
張り出しの無いフラットでシンプルなデザイン故に、台座と本体は互いを主張し合い静かな美しさを生み出しています。
さて、この“Credenza 4 Position“ですが今回入荷したものはちょっと特殊で、天板に配線孔が備わっています。
もともとオフィス用家具としてデザインされたものだけに、当時特注で作ったものなのかも知れませんね。
詳細は不明ですが、この部分も丁寧に作り込まれており、荒さは感じられません。
ちなみに、配線孔は天板から底板を抜けるように作られておりますので、配線を背中に降ろすことなく隠す事が可能。収納部分には干渉していませんので埃等が入る心配はございません。
4 Positionの名の通り、収納は4つの扉に分かれています。
いずれも、約5cm刻みで高さの調節が可能で、棚板は各2枚 計8枚付属。
板を支えるダボはネジ式の頑丈なものが付いており、重さのある書類等も気にせず収納可能です。
カギは欠品しておりますが、扉の片側にはプッシュ式のロックも備わっています。
耐久性と収納力に優れオフィスや自宅のサイドボードにうってつけのアイテム。
横幅180cm、奥行きは60cmあり重量のあるAV機器も難なく設置出来ますので、自宅のAVボードとしてもおすすめです。
現行品は150万円以上する超高級家具。デザインも然ることながら、その重量や細部の作り込みからもそれが伝わってきます。
他のインテリアとも馴染みやすく、お部屋を上質なモダン空間へと押し上げてくれるフローレンス・ノルの残した名作です。