Knoll
High back Armchair
彫刻家でありながらインパクトのある名作椅子を世に残した『ハリーベルトイア』。
イームズやジョージネルソンに並びミッドセンチュリー期を代表するデザイナーとしてその名を知られています。
金属彫刻家という側面を持つ一方、ジュエリー製作からグラフィックデザイン、果ては音響彫刻まで幅広く手掛けていたベルトイアならではの家具デザインは唯一無二のもの。
それは家具の領域を超えもはや芸術の域に達しているともいえます。
ハリー・ベルトイア渾身の一作
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ベルトイアのデザインしたダイヤモンドチェアはあまりにも有名ですが、本日ご紹介するこちらはハイバックタイプの通称『バードチェア』。
一連のワイヤーチェアシリーズの中でもゆったりと寛ぐことの出来るラウンジチェアタイプの一脚です。
ちょいと話は逸れますが…1951年にハーマンミラー社より発表されたイームズワイヤーチェア(DKR)。
数多のラインナップの中でも一定の人気を誇るシェルチェアのワイヤータイプですが、実のところ、これは当時イームズオフィスに在籍していたベルトイアの功績により製品化されたものだそう。
コレ↓
イームズ夫妻の結婚指輪を作るくらい親交の深かったベルトイアですが、イームズオフィスで働いている以上、自身の名が世に出ることは無いという事を不満に思っており、以前からオファーを出し続けていたKnollの創業者ハンス・ノルのもとで働くことに。
以降はご存じの通り。
Knollはベルトイアの家具製造の権利を手に入れ、今日でもそれは世界中のファンから愛される名作として世に出回っています。
このワイヤーシリーズはいわば、ハンス・ノルの先見の明によって世に生み出されたと言っても過言ではありません。
人間工学にも精通していたベルトイアの生み出したチェアは座り心地も抜群。
それを確かなものにしているのが、スチールロッドを人体の構造に沿ってデザインした絶妙な流線と、ラバーマウントによる衝撃の吸収力です。
吸い付くようなフィット感が癖になる、見た目からは想像し難い気持ち良さ。
椅子の形を借りた芸術品と思いきや、しっかり椅子としての役目を果たしています。
1次元のスチールロッドを組み合わせ2次元に。さらにそれを曲げて3次曲面を創り出すこの構造は、物資が乏しく木製の椅子が当たり前であった1950年代にしては画期的でした。
現在は成形合板やプラスチックの加工技術が上がり、比較的容易に生産出来ますが、それが無い中で、しかも曲面の持つ柔らかさとは対極にあるスチールを使うという発想に驚きです。
しかも、このグリッドの交差部分は今も昔も変わらず、一点一点手作業で溶接されているそうです。
その数500箇所以上。
効率重視の現代において、改めてコレを製品化しようとしてもどこの企業も採用しないでしょう。
さすがは金属彫刻家。
ベルトイアにとってこの家具製作は、数々の芸術作品の一つだったのかも知れません。
ハリーベルトイアの名を聞くと、ついつい数多の名作家具をデザインした人物を想像してしますが、生涯でデザインした家具はKnollに提供したこのわずか数点のみ。
まさに天才。生粋のアーティストです。
この椅子をめぐる背景を知ると、ミッドセンチュリー期のデザインに対する『熱』を感じられずにはいられません。
中古市場でも滅多に出回らないバードチェア。
今回は足を投げ出しリラックスしてお使い頂ける、お得なオットマン付きでの入荷です。
さらにカバーは専門業社にて張り替え済み。
芸術的な椅子として名高い、ハリーベルトイアデザインの渾身のプロダクトでした。