ニールス・ロス・アナセン Niels Roth Andersen ラケットチェア チェリー材 ナイロンガット デンマーク 北欧 ビンテージ 希少 ~既知と未知の狭間に~

UPDATE: STAFF:よしお
ニールス・ロス・アナセン Niels Roth Andersen ラケットチェア チェリー材 ナイロンガット デンマーク 北欧 ビンテージ 希少 ~既知と未知の狭間に~

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Niels Roth Andersen
Racket Chair

本日はデンマークの家具デザイナー”ヘルゲ・ヴェスターガード・イェンセン / Helge Vestergaard Jensen”が1955年にデザインし、北欧デンマークの名工”ニールス・ロス・アナセン Niels Roth Andersen”により製造された、市場に滅多に出回らない希少な逸品『 ラケットチェア / Racket Chair 』のご紹介♪

既知と未知の狭間に

”ヘルゲ・ヴェスターガード・イェンセン / Helge Vestergaard Jensen”は1917年生まれのデンマーク家具デザイナー。1937年には既にキャビネットメーカーに勤務し家具職人として活躍していましたが、その傍らで名門「Royal Danish Academy of Fine Arts, School of Furniture」で学び1943年に卒業します。その後はコーア・クリント、ヴィット&モルガード・ニールセン、パレ・スエンソン、ヴィルヘルム・ラウリッツェンといったデンマークの大手建築事務所で働き、1950年に自身の事務所を設立しました。

ウェグナーやフィンユールの様に、一般的に広く知られているデザイナーではないものの、同氏の家具デザインが異彩を放つのは確か。同作を始め、彼のデザインした家具の多くは生産数が限られており、多くの人が目にする機会も少なかったようです。

同氏が新しい人工素材と天然素材の融合を示し、ナイロン製の紐をとりつけた『 ラケットチェア 』。同作も僅かに情報は出てくるものの、日本語はおろか海外サイトにてその詳細について書かれている記事は少なく、チェアコレクター垂涎の逸品です。

とはいえ、コレクションとするからには少しでも情報が欲しいところ。どうやら2022年に東京都美術館で開催された「フィン・ユールとデンマークの椅子」展にて、フィン・ユール、アルネ・ヤコブセン、ハンス・J・ウェグナー、イブ・コフォード、ラーセン等のデンマークの名だたる建築家・家具デザイナーの作品が勢揃いした際に、このラケットチェアも展示されていたようです。感度の高いインテリアファンの方は、当時展示室で観た記憶があるかもしれません。

そう。これは日本初の公立美術館の企画展で、北欧家具の、またその中でも斬新な椅子のみがふるいに掛けられ厳選された「美術館の学芸員が歴史に残したいと思う」一級品レベルのもの。当時どんな紹介がされたのかは不明ですが、状態保存の為、来場者が座る事を許されていなかったのは確かです。


ラケットチェアとは何なのでしょうか?カテゴリはデザインなのか、アートなのか。どう思いますか?座り心地の良否よりも、鑑賞する事が先なのは明らかです。

「ラケット×チェア」なのか。そもそもラケットはテニスのラケットなのか。それともラケットでは無い何かの比喩なのか。椅子の専門書や海外の古い文献を探せば、明確な答えはあるかもしれません。

ラケットの様なナイロン紐と側面の縫目。チェリー材を曲げたラケットの様なウッドフレーム。スエード生地の丸いヘッドレストはテニスボールでしょうか?では後ろの真鍮ボールは?それを上下すると体型に合わせた調整が出来るギミック。やはりただの機能でしょうか?前脚の貫はテニスラケットのスロートのようにも見えます。ラケットの擬人化ならぬ擬椅子化ですね。

余談として、テニスの始まりは古代エジプトに遡り、元々はラケットではなく手を使っていたそう。そもそもそれは球技ではなく、宗教儀式的な行為だったようです。そんな雑学を知った事により、この初めて感じる存在感は、より神々しくも思えてきます。

しかし作者の意図は何であれ、ここで大切な事は答え合わせではなく、対峙する側がその存在の意味を考え、深読みし、想像する行為そのもの。その摩訶不思議な存在に対して答えるまでの時間が重要です。それは人それぞれの解釈があり、意味は一義的でなく多義的なものです。

ラケットがテニスの道具である事と、椅子が座る為の道具である事。誰でも知識として知っている2つの事が、重なり同時に存在している。一部の要素が既知でありながら、その状態を誰も見た事が無く、" 未知との遭遇 "になっています。人を立ち止まらせるものはいつでも、そんな既知と未知が混ざり合った存在。手軽なお遊びではなく、" 理解できないものを鑑賞し味わう "という人生の遊び。それがなければ世界はつまらないのです。


ニールス・ロス・アナセン Niels Roth Andersen ラケットチェア チェリー材 ナイロンガット デンマーク 北欧 ビンテージ 希少 ~既知と未知の狭間に~

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