Ny chair X
椅子として最大限の機能を発揮し、かつ限られたスペースでの収納を実現したフォールディングチェア。
その実用性に付随する圧倒的な快適性。
最小限のパーツから成る美しいデザイン。
本日は今もなお、国内外問わず愛され続けられている名作椅子のご紹介です。
良い暮らしに寄り添う道具
折り畳み椅子の傑作といわれるニーチェアX。
こちらを手掛けたのは日本人のインテリアデザイナー、新居猛氏。
同氏は椅子づくりの信念として、座りやすく丈夫な椅子を低コストで作るということを目指しました。
その理念を追求し、数々の試作と改良を経て、1970年に誕生したのがニーチェアXです。
このシンプルなデザインの発想は、映画監督が座るディレクターズチェアから着想を得ています。
軽量で持ち運びが容易なこのチェアは、屋内外のどちらでも活躍できるようにデザインされました。
休息のひとときにふさわしく、座面の傾斜など細部に至るまで精巧に計算され、現在の形が完成しました。
最大の特徴は座り心地。
エックス字状のパイプフレームを付けて生地を横に張っている為、シートが適度に沈み込み、自然と身体にフィットする形状。
自分の体重がフレームを開きキャンバスに張力を生むことで、生地全体のクッション性を高める構造となっています。
布地は岡山の倉敷帆布と、滋賀の高島帆布の2ヶ所で製造されている国内の一級帆布。
布地に限らず、肘掛けやパイプなども国産の素材に拘り、加工もすべて長年の実績のある国内工場で生産されています。
シンプルでミニマムなデザイン故、あらゆる場所に溶け込み、日常の家具としての気楽さを演出します。
「座り心地を落とさず、とにかく安く、道具のように役に立ってこそ椅子」という信念のもと、「多くの人から愛されるカレーライスのような椅子づくり」を目指した新居猛氏。
使い心地や素材は特別でありながら、どこか感じる親近感。
その自然なデザインがもたらす普遍性が、製造から50年以上を経てもなお魅力が色褪せない理由なのかもしれません。