DREXEL HERITAGE
RISHEL WIDE CHEST
今日はからっと良い天気。風が強めであったり気温差が激しかった近日と比べて、Tシャツ一枚で快適に過ごせるお日取りです。
こんな湿度・気温のまま夏を過ごせれば良いのですが、この先には日本の「いつもの」、梅雨というレイニーシーズンが待ち構えています。
気が付けば夏、と記憶に残る事が少ない季節ですが、大切に過ごしてゆきたいですね。
今回のご紹介は、細かい所を完璧にするよりも大切な、アイテムの中心に芯の強さを感じさせてくれる家具。
宜しければ、最後までお付き合い下さい。
いつも見ていたその背中
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今回のアイテムはドレクセルヘリテイジの、ワイドチェスト。
いわゆるUSビンテージの一品になります。

この家具メーカーの始まりは1903年、アメリカはノースカロライナ州(東海岸寄りですね)のヒッコリー地域、アパラチア山脈のそばで製材所が設立されたところから。
アメリカの出自という点からみて、デザインソースは西洋ヨーロッパ諸国にありましたが、ミッドセンチュリー期からの隆興の時代には過度な装飾はなりを潜め、簡略ながらも堅実で良質な家具を中級層に向けて製造していたようです。
コントラクト家具(法人向け)の製造も多く請け負っていたようで、公共機関や軍の放出品などでも見かけられる事が多い、正にアメリカの「スタンダード」と言えるブランドです。

今回はリシェルシリーズ。ストレートなアウトラインが潔い形です。アメリカ大陸入植初期をよくコロニアル様式と表現しますが、その代表といえる猫脚や象嵌といった装飾も、この家具には見られません。
装飾のための装飾は不要とする、アメリカ人の合理性を感じる事の出来るデザインです。

天板はデコラトップ、化粧材にはウォールナット材が用いられていて、深いブラウンは落ち着きのある色味になっています。
高さは76センチと腰までないくらいの高さ。ひたすらビッグサイズなイメージのアメリカですが、こちらは圧迫感の少ない使いやすいサイズ感となっています。
引き出しは2列3段。取っ手の付いた戸板は同じサイズ感で統一されていますが、引き出しの深さは嵩張る衣類等を下段に仕舞いやすいよう上段から約11、13、15センチと変化が付けられています。(参考:内寸幅62.5、奥行39センチ)

個人的に面白いのは、鈍く光る取っ手金具の奥。ここはよく見ると手作業で削られ、黒色に着色されています。引き出しを使うたびに、指先にハンドクラフトな手触りを感じられます。
他にも、引き出しの内側には塗装の跡があったり、材料が余ったのか板目材の中に柾目材のようなところがあったりと(笑)
使い心地に直結する所は想像以上にしっかりとしていますが、それ以外は意外と大雑把なのがまたアメリカらしいですね。

長い間の使用に耐えるように、戸板はアリ組みでしっかりと組み合わされ、短めの脚の裏側にはしっかりと補強材が入ったこのチェスト。
まるで、子供からその裏側を「しっかりして」と叱られるけれども、本当に大事なここ一番では一歩も退かない、頼り甲斐のあるお父さんお母さんの姿に見えてきます。
今日は折りしも母の日。人によってその母親像は様々かと思いますが、親であろうとするその「もの言わぬ覚悟」には、いつでも頭が下がります。
このチェストは、目立たないけれど長く側にいてくれることを感謝出来るような、そんなアイテム。
傷がついたって本当に大事なものは変わらない。そんなアメリカらしいタフネスを象徴する素敵なチェストはいかがでしょうか。
