THONET
S43
1920年代半ば。
バウハウスをはじめとしたドイツ表現主義とオランダのデ・ステイルムーヴメントは多くのデザイナーたちに強い影響を与えました。
これまでにないかたちと心地への追求と技術革新は発展を遂げ、革命とも呼べる名作へと形を変えることに。
本日ご紹介させて頂くのもまた、この時代に生まれた名プロダクト。
トーネットのカンティレバーチェアー、S43のご紹介です。
20世紀のチェアの革命
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ドイツの老舗家具メーカー、トーネット。
その歴史は永く、創業は何と1819年。
木材加工技術が進歩した現在でも生産が難しいといわれるベントウッド(曲木)の家具を世界で初めて量産させたことでも知られる名メーカーです。
時代の変化に伴い更なる発展を求めたトーネット社は当時、当たり前であった家具は木製であるという概念に捕らわれませんでした。
既に曲木技術で名を馳せていた同社は新たな家具デザインに取り組むデザイナーと協力関係を結ぶことに。
そして生まれた成果がモダンデザインを語る上で重要なピースとなる構造。
4本の脚を必要としないカンティレバーの仕様でした。
曲木同様一本のパイプを曲げて成形する事で完成形に近づいたフレーム。
この仕様は強度だけではなく、サスペンションとしての機能も獲得することになります。
トーネット社は早々に特許を取得。
デザイナーの理想の形を完璧に近い形で製品化する事に尽力しました。
モダンデザインの歴史的名作、S43もまたトーネット社の技術により完成された一脚。
発表は1931年、家具の歴史における原初のキャンティレバー・チェア、S33をベースに作られました。
デザイナーはオランダの建築家マルト・スタム。
“空気のうえに座る”をコンセプトに作られた同チェアの部材を見直し、機能部を追求したS43はシンプルで非常に明快に仕上げられました。
洗練されたデザインとスチールパイプ、成型合板という最小限のパーツと改良された座り心地、堅牢性は素晴らしく、今尚新鮮な印象を放ちます。
家具は木製という常識を覆し、チェアは4本足であるという概念を取っ払ったマルト・スタムとトーネット。
20世紀に起きたチェアの革命はここから飛び火し多くの名作へと繋がりました。
美しいシンプルに込められた椅子としての快適性と製品としても堅牢性。
1932年にドイツの図書館に納められた100脚は今でも使用されており、その耐久性を保証しています。
70年の時を絶った今でも色褪せない美しい名プロダクトのひとつです。
THONET S43 A
THONET S43 B