TRUCK FURNITURE
RAGTIME ROCKING CHAIR
東北・北海道地方は凄まじいまでの降雪となっているようですが、都内もなんだかんだ今年はしっかりと寒い気がしています。体調を崩しやすいので本当に皆様もお気を付けて。
今回、そんな体調不良の地雷原を颯爽と走り抜けていきたいしっかりとした大人の方々に是非お勧めしたい、心地よく、使いやすく、そして雰囲気ばっちりの1脚が入荷致しました。
特別なチェアをお探しの方には是非、ご覧になって頂きたいプロダクトです。
「自分たちが欲しいもの」とは
今回は国内家具ブランドの中でも屈指の人気を誇る、トラックファニチャー | TRUCK FURNITUREから。
黄瀬徳彦氏と唐津裕美氏、そしてラブラドール犬のBUDDY(バディ)と共に始まったトラックファニチャー。
1997年というはじまりの時勢はポストモダンを過ぎ、MacやWindowsといった双頭のOSが当たり前になり、フィリップ・スタルクやロン・アラッド、ロナン&ブルレック兄弟やマーク・ニューソンといった現代を代表するデザイナー達が表舞台へ続々と現れた面白い時代。
そんな時に二人+一匹が作り始めたのは自分たちが欲しいものでした。
マーケティングというものはとても大切と嫌でも分かるこの世の中。売れるもののためにはよりキャッチーで訴求性の高いものがもてはやされるのもまた一つの真実。
ですが、この二人+一匹が作ったものはもっとシンプル。
それは自分たちが欲しいもの。
それは、例えばそれまで難しかった一体成型のシートを軍用技術で形に仕上げたイームズ夫妻のように。
それは、例えば妊娠していた自分の奥さんが好きな姿勢を取れるように、ストレッチ性の高いカバーを見つけてビーズクッションを作ったヨギボーの創業者エイアル・レヴィのように。
顔の見えない不特定多数では無く、最も近い使用者である「自分たち」。最も強いモチベーションが利く相手に誠実に作ったプロダクトは、多くの人々の心に刺さる雰囲気のあるアイテムとなっていったのです。
今回はロッキングチェア。ぱっと見は1人掛けのソファなのでは?と思うボリューム感ですが、しっかりとロック(Rock=揺れる)する寛ぎの椅子。
トラック品質とでも言いたくなる、雰囲気グンバツ(意:抜群)のマテリアル。
テーブル等では節や抜けすらカッコイイオークが人気ですが、チェアではフレームとシートファブリックが注目ポイントです。
わざわざ金型から造り、キャスト(鋳込み)で作られるアイアンフレーム。中身の詰まった重さがあり、安定感のある座り心地を支えます。スイベル周りには「TRUCK PRODUCT」「MADE IN JAPAN」の刻印、そしてリクライニングのテンションを調整する極太のスプリングを留めるノブには「Truck」。とても誇らしげです。
そしてファブリックはネップ感の強いF-51のウールストライプ。トラックらしい枯草色は温もりを伝えながらも、悪目立ちのない日本らしい色彩バランス。
クッションにはフカっと沈み込みのあるフェザーを採用。贅沢です。
ですが、クッション留めのアタリを防ぐためか、背もたれには別途ウレタンを挟み込むという気配りが見て取れます。うーん心憎い。
そして先述のクッション留め。安楽性が高いクッションほどズレやすく、柔らかいクッションフィルは生地を引っ張りやすいもの。
今回のチェアには一つのテープにつき2箇所のスナップボタン、そして中心線や背面を加えた計13箇所での固定を計っています。負荷が掛かりやすいところから破損しやすいパーツなので、掛かるチカラを分散できるという点でもGoodなデザイン。
マテリアルに関しては破れたってカッコいいものを採用しているトラックですが、普段使いのストレスに関する場所は「これでもか!」という位の予防策をしているのが面白い所。
これも自分たちが欲しいものを最初に考えているから生まれるポイントだと思います。恐らくですが、先にコストが決まっていたら多分難しかった事でしょう。
良質なアナログのリクライニングはフェザークッションの沈み込みをより魅惑的に引き立て、日本らしい自然の色、インダストリアルなデザインに適うマテリアルと造り手の「自信」が現れた珠玉のプロダクト。これを他の店に卸さず、自分たちの目の届く範囲で販売するという責任を手放さないトラックファニチャーはやっぱりカッコいいのです。
雰囲気以上を与えてくれる、そんな素敵な1脚。特別な場所に相応しい寛ぎの椅子をお探しの方は、どうぞこの機会をお見逃しなく。