Borge Mogensen
model.133 Dresser Chest
ボーエ・モーエンセン。
ウェグナー・フィンユール・ヤコブセンと並ぶ北欧家具の4大巨匠に数えられ、デンマーク家具を語る上では欠かせない存在です。
特にウェグナーとの親交が深く共作でスポークバックソファを手掛けるほど仲が良かったとか。
シェーカーチェアをモチーフにしたモーエンセン作J39とウェグナー作CH36もどこか似ていて兄弟のようだな、と感じます。
そんな二人ですが秘めたる信念は全くの別物。
ウェグナーは情熱的。モーエンセンは穏やかで冷静。と例えられるほど好対照で、それぞれの作品にも色濃く体現されています。
今回はそんなボーエ・モーエンセンの希少なプロダクトをご紹介します。
最後までお付き合いくださいませ。
チェストに収納されたもの。
>>この商品の詳細を確認する
こちらは”ソボーモブラー Soborg mobler ” 『model.133 ドレッサー チェスト』です。
同社は調べても詳しい文献が出てこない謎多きデンマークの名工。
モーエンセンを中心に北欧を代表する名デザイナーの作品を多く手掛けたことで知られており、良質な素材とデザイン・確かな技術から形作られた家具は名ビンテージとして今尚高い評価を受けています。
デザインを手掛けたのはボーエ・モーエンセン。
シンプルで使いやすく丈夫な家具をデザインし、余分な装飾を排し無駄の無い構造を追及し続けました。
先程引き合いに出したウェグナーの家具はユニークさが前面に出ておりますが、同氏はさりげなく機能美やクラフト感を添えるイメージ。
今回紹介する model.133にもその信念が所々に芽吹いております。
このドレッサーチェストのデザインは1950年代。
直線的なボディの内側に入り込んだ4つ立脚のデザインは重い印象にさせず軽やかに映り、ザ・デンマークビンテージと一目で理解できます。
素材にはチーク材を用い脚部のみオーク材が使用され、飴色のような色合いと美しい杢目はやはり魅力的。
シンプルが故に素材の良さが際立つのは北欧家具の魅力ですよね。
大きめの収納。
内寸は 約W93.5×D40.5×H16cm。
広め深めに設計された抽斗はたっぷりサイズでどんな衣類でもしまえる確かな収納力を誇ります。
抽斗の取手もクラフト感ある拘り。
手が掛けやすいよう削り出され特段力を入れることなくスムースに引き出す事が可能。
また、デザイン性がありながら主張しすぎずボディ部分に自然に溶け込んでおり、無駄な装飾を嫌う同氏の特徴が見て取れます。
やっぱりデンマーク家具は美しい!
そう舌を鳴らした方もいらっしゃるかと思いますがまだ50%程の魅力しかお伝え出来ておりません。
ここからがボーエ・モーエンセンならではの真骨頂。
抽斗の上段。
なんと下2段とは全く違った空間が現れたではありませんか。
外見からは3段のチェストの様に見えますが、側面に付いた金具により展開可能なんです。
これによりデスクのような使い方が可能になり、向かって左側にはトレイ、右側には3杯の小引き出しが備わっております。
細かく見ていきましょう。
右側の3杯の抽斗。
深めの抽斗1杯に浅めの抽斗2杯の構成なので、様々な用途に合ったものを収納できます。
アクセサリーや時計、貴重品など収納するといいかもしれませんね。
左側のトレイ。
これもまた魅力的で階段のように段違いにデザインされています。
小人が暮らしているような生活感さえ感じさせ、ここにも遊び心が存在していました。
真ん中の収納部。
奥行きがありますので長めの物も気にせず収納できそう。
ライティングビューローとしてもお使い頂けそうです。
ここまで多くの魅力を紹介して参りましたが、驚かされる機能がもう1つ。
デスク内中央に手を差し込み引き出すと、なんとミラーが現れます。
外観からみると極めてシンプルで端正な佇まいのチェストですが、ライティングビューローにもドレッサーにも変身できる多彩な機能も収納されていました。
チェストの中にドレッサーを収納するって常人じゃ考えられないですよね。
考え付いても作る事は困難を極めます。
モーエンセンは穏やかで冷静ながら、心の中に家具造りに対する情熱や遊び心を持ち続けていました。
そんな拘りと情熱が反映されたそんなmodel.133 ドレッサー チェスト。
以上、名作のご紹介でした。
空間の中で存在感を放つフォルム。
シンプルの中に隠された機能美。
細部に宿った神。
それらを取り纏う希少な素材チーク。
クラフトマンシップ溢れる意匠設計が確かな価値を生み出し、現在まで大切にバトンが繋がれてきました。
バトンを引き継ぎ大切に使って下さる方に届く事を切に願っております。